“素”のヤリスでスーパー耐久に。大阪のオートラボがオリジナルエアロを装着しST-5に挑戦へ

 1月14日、千葉県の幕張メッセで開幕した東京オートサロン2022。この会場に、大阪府茨木市のオートラボが、MXPA10型のトヨタ・ヤリスを出展した。この車両はオートラボのオリジナルレーシングエアロ『air force+』を装着したものだが、この車両で2022年のスーパー耐久ST-5クラス参戦を目指しているのだという。

 オートラボの國松宏二代表は、フリーのメカニックとしてスーパーGT等さまざまなレースで活躍してきたほか、レーシングカー製作にも携わった経験をもつ。スーパー耐久でも、村上モータースの依頼でNDロードスターを手がけた。「新しいもの好きなんです」と國松代表はいう。

 今回、そんな國松代表率いるオートラボが、すでに複数チームが手がけST-2クラスに参戦しているGRヤリスではなく、「GRじゃない方の“素”のヤリス」でスーパー耐久で挑むことになった。「誰もやったことがないことをやろうと思いましたし、自分のチームでやりたかったので、金額の面でも自分の予算のなかで作れる。裏方でこれまでクルマを作ってきましたが、そろそろ自分のクルマを作ろうと思ったんです」というのがヤリスを選んだ理由だ。

 今回出展されたヤリスは、オートラボで手がけたエアロ『air force+』を装着する。フロントバンパー、リヤバンパー、ガーニーフラップの高さを変えられる可変式リヤウイングが製作され、スーパー耐久の規定どおり、そのまま販売されるというものだ。走りのために徹底したデザインを施し、空力性能はもとより、耐久性や導風など機能面を重視した。フロントバンパーは、サーキット用とストリート用がある。

 さらに、レース参戦に向けてフジツボのマフラー、HPIのミッションオイルクーラー、小倉クラッチ製クラッチ、キャロッセのLSD、テイン製オリジナルダンパー、swift製スプリング、エンドレス製ブレーキなどを装備する予定。「何もなかったところから、さまざまなメーカーさんを巻き込んで、作ってもらっています」とレースに向けて準備を進める。

 参戦を予定しているST-5クラスは、2021年はマツダ・ロードスターが強力でマツダ・デミオ/マツダ2、ホンダ・フィットが多い。2022年はフィットが複数台「戻ってきそう」という声も聞こえており、スーパー耐久のなかでも最多のクラスになるのではないかとも言われる。

「僕たちは車体を作るのが好きなのですが、“作れるクラス”が今かなり少ないんです」と國松代表は言う。実際、近年はST-1やST-3など排気量が大きなクラスでは、市販状態での電子制御などさまざまな障壁もあり、スーパー耐久機構(S.T.O)でも対策を進めている。またST-2も、トヨタが作りあげたGRヤリスという強力なカスタマーレーシングカーもあるクラスだ。

 今後スポンサー探しやドライバー選定も進め、開幕に向けて準備を進めていくことになる。近年、スーパー耐久“らしさ”が最もあふれていると言えるST-5クラスに、また楽しみな車種が増えることになりそうだ。

オートラボ air force+トヨタ・ヤリス(MXPA10)用エアロパーツ
フロントバンパー(ストリート用) 12万9800円
フロントバンパー(レース用) 18万4800円
リヤバンパー 11万8800円
リヤウイング(可変式)7万4800円
(消費税込・予価/素材はすべてFRP製)
http://www.auto-labo.net

オートラボが製作しスーパー耐久ST-5参戦を目指すトヨタ・ヤリス
オートラボが製作しスーパー耐久ST-5参戦を目指すトヨタ・ヤリス
オートラボが製作しスーパー耐久ST-5参戦を目指すトヨタ・ヤリス
オートラボが製作しスーパー耐久ST-5参戦を目指すトヨタ・ヤリス

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