リーグ王者のオリックスは左翼と右翼もマイナスに
2月1日のキャンプインまで、あと3週間を切ったプロ野球。選手たちはキャンプに向けて自主トレに励んでいる。ペナントレースの行方を左右する重要な要素がディフェンス力。各球団における守備の“弱点”はどこにあるのか――。パ・リーグ6球団の昨季のポジションごとの力を守備指標で見ていこう。
【一覧表】各球団の“穴”が一目瞭然… 12球団のポジション別「UZR」の一覧
用いたのは、守備全般での貢献を示す「UZR(Ultimate Zone Rating)」。リーグにおける同じ守備位置の平均的な選手が守る場合に比べて、守備でどれだけの失点を防いだかを表す。検証には、セイバーメトリクスの指標を用いて分析などを行う株式会社DELTAのデータを参照した。
○オリックス
パ・リーグを制したが、チーム全体のUZRは-2.0とリーグ5位。決してパ・リーグの中では守備のいいチームではない。宗が守った三塁が10.6と大きなプラスを生んでいる一方で、紅林の遊撃、吉田正の左翼が-4.3、杉本の右翼はリーグワーストの-10.9だった。杉本にはこの守備を補ってあまりあるだけの打力があるため、このマイナスには目を瞑るしかないか。
○ロッテ
チームUZR9.6はパ・リーグで4位。ポジション別で見ると、大幅なプラスを生んでいる位置もなければ、大きくマイナスに落ち込んでいる位置もない。その中で荻野の左翼は、リーグトップの7.6でチームの強みに。その反面、安田と藤岡が主に守った三塁は-6.1、捕手と一塁も-2.7となっていた。
西武は二塁と遊撃が大幅なプラスも、その他のポジションは…
○楽天
12球団でナンバーワンの守備を誇っている。チームUZRは25.5を記録。特に茂木の三塁がUZR19.4と群を抜く数値に。岡島の守った右翼も12球団トップタイの10.1、辰己が中心だった中堅も8.2とストロングポイントに。穴は小深田と山崎の遊撃。-11.9はリーグワーストと“弱点”となっている。
○ソフトバンク
チームUZRは12球団で2位となる24.7と、楽天に匹敵する守備力を誇る。強みは甲斐の捕手(7.0)、中村晃の一塁(11.7)、そして今宮らの守った遊撃(14.3)。その一方で左翼が-5.1、中堅が-8.5と落ち込みが大きい。中堅は牧原大がプラスながら、柳田や真砂、上林らがマイナスで数値を押し下げている。
○日本ハム
チームUZRは-18.8とリーグワーストに。主に浅間が守った中堅はリーグトップの8.9と上積みを作ったが、捕手が-6.3、二塁が-14.9、三塁が-4.7、右翼が-6.5とマイナス指標が相次ぐ。現役時代に守備に定評のあった新庄剛志監督が果たして、このチームの“弱点”をどう改善してくるだろうか。
○西武
リーグ3位のUZR23.3と守備は悪くないように写る。ただ、源田の遊撃が25.6、外崎の二塁が10.5と大幅なプラスを生んでいることがその要因。ポジション別に見ると、捕手、一塁、三塁、左翼、中堅がマイナス。特に外野の要である中堅がリーグワーストの-9.3となっており、ここは改善したいところだ。(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)
データ提供:DELTA
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』も運営する。