「二度と出てこないシーン」 Bリーグ屈指の“野球好き”が忘れられない一戦は?

秋田ノーザンハピネッツの田口成浩【写真提供:(C)AKITA NORTHERN HAPPINETS】

小学生時代は「ピッチャーで4番」で夢はプロ野球選手

今がシーズン真っ盛りの国内男子プロバスケットボールリーグ「Bリーグ」。その熱戦に身を置くB1秋田ノーザンハピネッツの田口成浩(たぐち・しげひろ)選手は、地元秋田をバスケットで盛り上げるかたわら、自身のツイッターで「パ・リーグ.com」の投稿をリツイートするなど、プロ・アマ問わない野球好き。そんな田口が幼少期の野球経験から2022年の注目選手まで大いに語った。

――田口選手のツイッターから、すごく野球が好きという印象を受けています。
「プロフィールにも野球のツイート多いですって書いて、それに沿いながら(投稿している)。野球の魅力をみんなに知ってもらいたいという思いがあります」

――学生時代の野球経験は?
「小、中とやっていました。(バスケットを)本格的に始めたのは高校から。小学生の頃はピッチャーで4番。中学校ではサードとかやってましたね。(当時の夢は野球選手?)はい、プロ野球選手になりたいと思っていました」

――高校で野球からバスケットボールに専念されたのですね。
「野球は中学校でなかなか試合に出ることができず、いろんな挫折をして。身長が伸びてきて、バスケットをちょっとかじってましたし、楽しさというのも分かっていたので、これを機にチャレンジしてみようかと始めました」

――そもそも野球を好きになったきっかけは?
「父親が野球好きで巨人戦は毎日テレビで流れていました。野球を嫌いになって(競技を)辞めたわけではないので、好きな気持ちは変わっていないんです」

――田口選手が考える野球の魅力とは。
「時間がないことがまずは魅力的なのかな。バスケットやサッカーは時間(の制限)があって、残り0秒になったら終わる。バスケットは40分で試合を決めないといけません。野球はそうではなくて、27個のアウトを取るまで終わらない。最後まで諦めなければ……というのは同じですが、野球の何が起こるか分からないシチュエーションは面白いのかなと思います」

――Bリーグがシーズンオフの間、野球場へ行って観戦することはありますか?
「昨季まで千葉にいたので行ってましたね。ZOZOマリンスタジアムや東京ドームにも行きました」

幼少期の野球経験から2022年の注目選手までを語る【写真提供:(C)AKITA NORTHERN HAPPINETS】

“金農旋風”見たさに2018年夏、初めて甲子園へ

――2018年に夏の甲子園で金足農業高を応援されてますね。
「あれは急に決まりました。横浜高に勝ったと知って、休みだったので近江高との試合に弾丸で“オレ、行ってくる!”って言って(笑)しかも初めての甲子園だったんです。2ランスクイズの素晴らしいシーンを見ることができた。心に残っています」

――千葉ジェッツ時代の2019年にはZOZOマリンで始球式をされました。
「感慨深かった。夢だったマウンドに立てた。バックスクリーンに“田口成浩”と大きく出て、ぼくの顔もどーんと出ているわけです。その時点で涙が出そうになりました。バスケの試合以上に緊張して足がめちゃくちゃ震えて。前の日までかなり練習していたんですけど、大暴投をしてしまいました(笑)」

――印象に残っている試合はありますか。
「(01年パ・リーグ優勝決定試合の)近鉄バファローズの北川さんの代打逆転サヨナラ満塁ホームラン。これはもう二度と出てこないシーンだと思います。何度見てもすごいなあって鳥肌の立つ場面ですね。あとは(13年日本シリーズの)田中マーくん(将大)が160球を投げた次の日に抑えで出てくる試合ですね」

――Bリーグのシーズン中は中継で野球観戦されているのでしょうか。
「見ています。(パーソル)パ・リーグTVのツイッターもフォローしていますよ。ダイジェストやファインプレー集を見ます」

――同郷の秋田出身の選手に注目されていますよね。
「まず頑張ってほしいなって思うのはオリックスにドラフト7位で入った小木田敦也投手。角館中という自分の中学校の後輩なんです。(面識は?)ツイッターもフォローさせてもらって“カテゴリーは違うけれど、相談に乗れることがあればなんでも力になるから”って話をしました」

――秋田出身の中嶋聡監督率いるオリックスと、石川雅規投手と石山泰稚投手が在籍するヤクルトの対戦となった昨年の日本シリーズはワクワクするカードだったのでは。
「どっち応援したらいいかって感じだったので、純粋に野球を楽しむだけでしたね。守り合いというか、エラーは起きながらもカバーし合うというか。そういうシーンが結構あった。そういったところもスポーツの魅力、野球の魅力なのかな。一人ではできないことですので協力し合う、助け合うシーンが好きでした」

――田口選手の出身校・明桜高だとパ・リーグにはロッテ・山口航輝内野手、ソフトバンクのドラフト1位の風間球打投手がいます。
「本当に楽しみですね。山口くんとは面識があって。自分も負けられない気持ちになりますし、切磋琢磨している感じはあります」

――富士大時代は山川穂高内野手と外崎修汰内野手(ともに西武)と在学期間が重なっていましたか?
「かぶってます。ただ絡みはほとんどなくて。トレーニング場では一緒になってましたが。(面識はないが)勝手に応援しています。もっと声かけておけばな~(笑)」

メンタルづくりは「参考にさせてもらっています」

――注目している選手の日々の結果はやはり気になりますか。
「はい。面識ある人の活躍はなんでもうれしいじゃないですか。パ・リーグだと浅村くん(楽天・浅村栄斗内野手)も縁があって、一緒にご飯を食べたりゴルフ行ったりしたことも。刺激は受けますね。オリンピックに出て活躍していますし、チームの柱としてやっていますので」

――野球経験があって、野球観戦もされている。それらがバスケットボールに生きていることはありますか。
「小学校の野球の練習は厳しかったですが、根性もあるほうですのでバスケットにも生かしながらやっています。プロ野球はバスケットよりシーズンが長いですし、選手も多い。そういう中でどういうメンタルを作りながら、シーズンを戦うのかっていうのは、ドキュメンタリーとかを見ながら参考にさせてもらっています」

――野球ファンへ、Bリーグと秋田ノーザンハピネッツのアピールをお願いします。
「Bリーグは冬でも会場は体育館ですので暖かくて、エンターテインメント的にも野球とは違った楽しみ方もあります。バスケットは早い展開で得点が何点も入れ合うスポーツ。ダンクシュートだったり迫力のある姿を近くで見ることができます。会場に足を運んでみてもらえればバスケットの魅力は確実に、必ず分かると思います!」

〇田口成浩(たぐち・しげひろ)
1990年3月25日生まれ。秋田県出身。明桜高から富士大を経て、2012シーズンに秋田ノーザンハピネッツ入団。2018シーズンから千葉ジェッツに所属し、2020-2021シーズンにはチャンピオンシップ制覇。今季より再び秋田ノーザンハピネッツに復帰し、シューターとして東地区優勝を目指すチームを支える。2021年12月5日にプロ通算5000得点とB1通算300回3ポイントシュート成功を達成。日本プロバスケットボール選手会会長も務めている。身長184センチ、体重84キロ。ポジションSG(シューティングガード)、背番号5。(「パ・リーグ インサイト」菊地綾子)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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