現役最終年に大活躍した選手たち メジャーリーグ公式サイトが特集

2020年のオプトアウト(出場辞退)から戦列復帰を果たし、昨季ジャイアンツをシーズン107勝という快進撃に導いたバスター・ポージーの現役引退は球界に衝撃を与えた。OPS.889をマークするなど、まだ十分にメジャーで活躍できる力を残していたからだ。しかし、ポージーのように余力を残しつつ、惜しまれながらユニフォームを脱ぐ選手は決して珍しくない。メジャーリーグ公式サイトのマット・ケリー記者は、現役最終年に大活躍した10人の選手を紹介する特集記事を公開している。

今回は「引退前の最後のシーズンに大活躍した選手」を特集する記事のため、悲劇的な死を迎えたロベルト・クレメンテやホゼ・フェルナンデス、緑内障による早期の引退を強いられたカービー・パケット、ブラックソックス事件で永久追放されたシューレス・ジョー・ジャクソンらは対象外となっている。

打者の筆頭はレッドソックスが誇るレジェンド2人、テッド・ウィリアムスとデービッド・オルティスだ。1959年にOPS.791と自己最悪の成績に終わり、キャリアで初めてOPSが1.000に届かなかったウィリアムスだが、41歳のシーズンとなる1960年も現役続行。113試合、390打席のみの出場だったが、打率.316、29本塁打、72打点、OPS1.096の好成績に加え、41三振に対して75四球を選ぶなど、史上最高クラスの打撃力が錆びついていないことを見せつけた。2016年のオルティスは151試合に出場して打率.315、38本塁打、127打点、OPS1.021をマーク。現役最終年の38本塁打は史上最多記録となった。

ケリー記者は、野手ではこの2人以外に2007年のバリー・ボンズ(126試合で打率.276、28本塁打、66打点、132四球、出塁率.480、OPS1.045)、2000年のウィル・クラーク(130試合で打率.319、21本塁打、70打点、OPS.964)、1947年のハンク・グリーンバーグ(125試合で打率.249、25本塁打、74打点、104四球、OPS.885)を選出している。

投手の筆頭はサンディ・コーファックスとマイク・ムシーナの2人だ。ドジャースの絶対的エースとして活躍していたコーファックスだが、5年連続最優秀防御率という絶頂期の陰で腕は悲鳴を上げ始めていた。1966年に27勝9敗、防御率1.73、317奪三振を記録し、2年連続3度目のサイ・ヤング賞を受賞したものの、30歳の若さで現役引退を決断。「もし片方の腕が使えない人がいて、たくさんのお金がかかるけどその腕を買い戻せると言われたら、その人は全財産を捧げるだろう」と語り、自分の腕が動くうちにユニフォームを脱ぐことを決めたのだった。ムシーナは現役最終年となった2008年に自身初のシーズン20勝をマーク。通算勝利数を一気に270まで伸ばし、現役最終年のインパクトが殿堂入りを後押ししたとも言われている。

ケリー記者が選んだ残り3人の投手は、2007年のカート・シリング(9勝8敗、防御率3.87、101奪三振)、1942年のラリー・フレンチ(15勝4敗、防御率1.83、62奪三振)、1990年のジョン・テューダー(12勝4敗、防御率2.40、63奪三振)という顔ぶれ。シリングはシーズンの成績自体は平凡だが、ポストシーズンで3勝0敗の活躍を見せ、レッドソックスをワールドシリーズ制覇に導いたことが評価された。

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