元F1王者ビルヌーブがNASCAR“Next-Gen”のテストに参加。新興チームから『デイトナ500』参戦へ

 1995年に北米インディカーでシリーズチャンピオン兼インディ500覇者となり、1997年にはF1ワールドチャンピオンも獲得したジャック・ビルヌーブが、NASCAR最高峰カップ・シリーズの2022年開幕戦『デイトナ500』への参戦を表明した。

 2022年導入となる新規定車両“Next-Gen”でのテストも実施し、ヨーロッパで過去2年間NASCARウィレン・ユーロシリーズでともに戦い旧知となったチーム・ヘイズバーグの27号車フォード・マスタングのステアリングを握ることが決まった。

 2021年シーズンを終えて以降、新規定“Next-Gen”車両となるトヨタ、シボレー、フォードの2022年型モデルを走らせる各陣営は、アメリカ・ノースカロライナ州のシャーロットや、フェニックスなどで開発テストを実施。年明けの1月11~12日は、まだ最終パッケージ確定前となるスーパースピードウェイ、デイトナ・インターナショナルでの合同テストに参加した。

 この2日間のスケジュールでドライビングシートに座ったビルヌーブは、耐久シリーズで活躍した元スポーツカードライバーのトイネ・ヘイズマンズと、オランダの起業家であるアーネスト・バーグ、そして地元アメリカのローム・ブラザーズ・レーシングとのジョイントによる新興チームとともに、新時代のNASCAR挑戦を決意した。

「本当に素晴らしいことだね。僕が北米のNASCARで最後に戦ったのは、もう数十年前のはるか昔のことだ。前回はソノマ(レースウェイ)だったかな? それに今回(のデイトナ)は傑出したレースだし、とても特別なものになるだろう」と、テスト前に語っていたビルヌーブ。

「非常に特別なレースである証明として、僕自身も競争力あるタイムを示さなければ、決闘に参加する権利を得ることさえ難しい。だから僕にとっては“基準タイムを突破する”という、ほんの少しのストレスが加わる。でも、もしショーの一員になれたら特別な経験になるだろうね」

1月11~12日にデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催された2日間のテストで、フォード・マスタングのステアリングを握ったジャック・ビルヌーブ
昨年10月にも、2022年のNASCARカップシリーズに”パートタイム”での新規参戦計画を表明していたTeam Hezeberg(チーム・ヘイズバーグ)
ビルヌーブが2月20日の『デイトナ500』本戦に初出場する場合、その3日前に実施される予選レースの結果が重要な指標となる

■2008年の挑戦時は予選レースでクラッシュ

 2022年のNASCARカップシリーズにパートタイムでの新規参戦を計画するチーム・ヘイズバーグは、元ユーロシリーズ王者で24歳のロリス・ヘゼマンズをエースに据え、ロードコースを中心とした参戦プログラムをアナウンスしていた。

「現時点での彼らは新しく小さなチームであり、物事を成し遂げるにはまだ長い道のりがある。それでも現在、僕らはデイトナに焦点を当てているし、個人的にはもっと多くのレースに関われるよう願っている」

 昨年10月の参戦アナウンス直後にはシャーロットで初テストに臨んだチームだが、ビルヌーブが2月20日の『デイトナ500』本戦に初出場する場合、その3日前に実施される予選レースの結果が重要な指標となる。

 そのビルヌーブは以前、2008年にビル・デイビス・レーシングから同セッションに挑戦したものの、予選レースでクラッシュを喫して参戦枠獲得の権利を逸したこともある。

「世界にはインディ500、ル・マン24時間レース、デイトナ500など、僕にとって際立ったレースがいくつかある。それは限られた特別なレースに分類されるだけに、挑戦する機会が訪れた場合には、是が非でも試さなければならないんだ」と続けたビルヌーブ。

「だからこそ、こうしてデイトナで“Next-Gen”と呼ばれる次世代NASCARのステアリングを握ることができて良かったよ。このマシンのドライブは本当に印象的だし、新チームとの良いセッションが持てた」

「予選セットアップにはいくつか作業の面で課題があったが、パックで走るときはとても快適で速かった。チームにとってはここからが旅の始まりだが、僕らはうまく働き、ともに進歩していけると思うよ」

デイトナでは、パックによるドラフティングのテストも実施。スーパースピードウェイ用のエアロパッケージを検証した
「このマシンのドライブは本当に印象的だし、新チームとの良いセッションが持てた」とビルヌーブ
今後もラスベガス、マーティンズビル、ホームステッドでの走行が予定されている

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