アブレイユは殿堂入りに値するか 公式サイトの記者たちが議論

メジャーリーグ公式サイトでは記者たちが特定の選手の殿堂入りの可能性について意見をぶつけ合う企画がシリーズ化されており、これまでにトッド・ヘルトン、アンドリュー・ジョーンズ、デービッド・オルティス、バスター・ポージー、スコット・ローレン、ビリー・ワグナー、ジョン・レスターについて議論が行われてきた。そして、シリーズの第8弾はフィリーズ、ヤンキース、エンゼルスなどで活躍した俊足強打の外野手、ボビー・アブレイユ。記者たちは議論の末にどんな結論を出したのだろうか。

アブレイユは1996年にアストロズでメジャーデビューし、メッツでプレーした2014年を最後に引退するまで、メジャー18年間で通算2425試合に出場して2470安打、打率.291、288本塁打、1363打点、400盗塁、1476四球、出塁率.395、OPS.870を記録。これだけの実績を残しながらもオールスター・ゲーム選出は2度しかなく、シルバースラッガー賞とゴールドグラブ賞も各1度。このほか、2005年のホームラン・ダービーで優勝し、ベネズエラ代表の一員としてWBCにも2度出場した。

進行役を務めたアリソン・フーター記者は「アブレイユはトニー・グウィンよりも通算出塁回数が多い。本塁打は2倍以上であり、二塁打の数や出塁率も上回っている」と指摘。メジャーリーグ公式サイトでフィリーズを担当するトッド・ゾレッキー記者は「アブレイユの出塁率、四球、盗塁、長打、二塁打は右翼手の歴代トップ10に入る。ベースボール・リファレンス版のWAR60.2は、すでに殿堂入りしている右翼手11人より高い」とアブレイユの優秀さを主張した。

一方、マーク・フェインサンド記者は「プレーした時代における最高の選手であるかを考えたとき、グウィンはオールスター・ゲーム選出15度、首位打者8度という圧倒的な数字を残しているが、アブレイユはオールスター・ゲーム選出2度で打撃タイトルもない。キャリア全体の数字が必ずしもその選手のキャリアの素晴らしさを物語っているとは言えない」とコメント。マイク・ペトリエロ記者は「250本塁打と400盗塁を達成した選手はリッキー・ヘンダーソン、クレイグ・ビジオ、ジョー・モーガン、バリー・ボンズ、ボビー・ボンズ、そしてアブレイユの6人だけだ」というデータを紹介した。

これだけの数字を残しながらもなぜ得票率が伸びない(2度目の挑戦となった前回は8.7%)のか、というフーター記者の疑問に対し、フェインサンド記者は「アブレイユはシーズンのWARでリーグ7位が最高。トップ10に入ったのも5度だけ。安定して優秀な選手だったが、その時代における最高の選手ではなかった」と回答。ペトリエロ記者は「最大10人しか投票できないというルールが影響していると思う。彼は11番目か12番目に優れた候補者だ。また、現役時代の注目度が低い選手だったことも影響しているのではないか」と自身の見解を示した。ゾレッキー記者も「現役時代のパフォーマンスは正当に評価されていなかった」とペトリエロ記者の意見に同意している。

そして、様々な議論を経た結果、「記者投票で選ばれるのは難しい。ベテランズ委員会の審査が必要になるだろう」という結論に。ゾレッキー記者は「ボンズ、クレメンス、シリングらが投票用紙から外れたあと、アブレイユがどれくらい得票率を伸ばすか興味深い」と語り、ペトリエロ記者は「最高で41%くらいだと思う」と予想した。フェインサンド記者は「2006~08年にヤンキース担当としてアブレイユを取材したが、殿堂入り選手のプレーを見ていると感じたことはなかった」としつつも、「ベテランズ委員会はハロルド・ベインズを殿堂入りさせた。アブレイユはベインズよりも優れた選手だと思う」と語り、今回の議論を締めくくった。

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