CGRからIMSA初参戦のアレックス・パロウ「デイトナ24時間は大きな目標のひとつだった」

 2021年のNTTインディカー・シリーズでシリーズチャンピオンを獲得したアレックス・パロウ。1月29~30日に行われるデイトナ24時間レースで、プロトタイプ・スポーツカーレースデビューを予定している彼は、“世界三大耐久レース”のひとつに数えられるロレックス24・アット・デイトナに出場することが「大きな目標のひとつだった」と語った。

 2021年シーズン、チップ・ガナッシ・レーシング(CGR)で年間3勝をマークし、自身初となるシリーズチャンピオンを獲得した24歳のスペイン人ドライバーは、既報のとおりIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の開幕戦でCGRのスポーツカー部隊に合流し、01号車キャデラックDPi-V.Rのラインアップの一翼を担う

 北米スポーツカーシリーズの最高峰カテゴリーであるDPiクラスに初参戦する彼のチームメイトは、01号車キャデラックでフルシーズンを戦うランガー・バン・デル・ザンデとセバスチャン・ブルデー、そしてパロウと同じく助っ人として参加するインディカーの“レジェンド”、スコット・ディクソンだ。

 パロウは、自身が2022年にDPiカテゴリーでの参戦体制を拡大させるチームに参加するため、昨シーズンの半ばに招集を受けたという。彼はSportscar365に対し「チップ(・ガナッシ)は、彼が与えてくれるすべてのものを、僕がドライブしたいと思っていることを知っていると思う」と語った。

「皆、僕が4つのホイールを持つ乗り物なら何でもドライブすることを知っているしね」

「彼らは(インディカーの)シーズンが終わる前から、すでに(DPiクラスで)2台目のマシンを走らせたがっていた。そのことを僕たちは以前から知っていた」

「2台目のキャデラックが用意できることになったのはシーズンの半ばごろだった。でも、テストを受けて実際に(レースで)乗ることになるのはチャンピオンシップが終わるまで知らなかったんだ」

 パロウのスポーツカーレースの経験は、2019年に日本のスーパーGT GT300クラスでマクラーレン720S GT3をドライブした1シーズンのみだが、オープンホイールからの移行はそれほど難しくないと述べた。

 彼は2021年の年末にデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催された数日間のテストで、キャデラックDPiでの最初のラップを経験した。

「たしかに違うけれど、同時にスピードやドライビングの方法などはインディカーとよく似ている部分もある。インディの方が動きからして少し難しいかもしれないね」とフォーミュラとプロトタイプの違いを説明したパロウ。

「だけど(プロトタイプは)視界が狭く、コーナーをあまり攻められない。とはいえ、両者は似ていると思う。だから乗り換えは簡単だったよ」

チップ・ガナッシ・レーシングの01号車キャデラックDPi-V.R

■ロレックスを貰えるように「精一杯の準備をする」

「僕は頭上にルーフがある感じが好きなんだ」とパロウは付け加えた。

「とても素敵に思う。また、ホイールが見えず、コーナーや縁石などがチャレンジングになるのもいいね」

「本当に興奮しているよ。24時間レースは初めてだし、DPiでレースをするのも初めての経験だ。それはエキサイティングなものになるだろう。(プロトタイプカーレースを)学ぶいいチームメイトもいる」

「今週末(のロア:デイトナ公式テスト)はクルマに慣れて、来週そして日曜日のためにベストを尽くすつもりだ。できれば来週、ウォッチ(優勝者に贈られるロレックス・デイトナ)を手に入れられるように精一杯の準備をしたいと思う」

■テキサスのセブリングの日程重複は「理解できない」とパロウ

 パロウが今月末のデイトナ以外のレースで、CGRのDPiプログラムに参加するかどうかは現在のところ確認されていないが、少なくとも3月18日から20日にかけてセブリングで行われる12時間レースに彼の姿はないはずだ。同じ週末、インディカーは第2戦テキサスが予定されていることがその理由だ。

「たしかに、セブリングにはいないはず」とパロウ。

「インディカーはそのレースを台無しにしたと思う。なぜインディカーが(IMSAとイベントの)日程を重複させたのか、理解できない」と彼は続けた。

「僕が知る限り、セブリング12時間はいつも同じ日に行われる」

「他に選ぶべき週末はたくさんあるのに、もっとも大きな週末を選んでしまうのだから、僕たちドライバーにとっては厳しいことになっている」

「残念だよ。何人かがトライしようとしていることは知っているが、僕はそうするつもりはない」

 パロウはまだ決定していないものの、シーズンエンドイベントのプチ・ル・マン(ロード・アトランタ10時間)でふたたびCGRのラインアップの一員になることを望んでいる。

「まだ何も固まっていないし、これがどのように進むのか、シーズンがどのようになる進むのかにもよると思うけど……」と前置きをしつつ、彼は「もう一度、別のチャンスが来ることを願っている」と述べた。

「僕にとってデイトナでレースをして、そこで勝つための努力をすることはひとつの大きな目標だった。だから、ここにいることはとてもエキサイティングなことなんだ。また、経験があれば来年何かをするのに役立つはずだ」

残り2周のリスタートでトップに立ち今季2勝目を挙げたアレックス・パロウ

© 株式会社三栄