安永時代から伝わる箱根の湯立獅子舞 町で初めて国の重要無形民俗文化財に

箱根の湯立獅子舞=箱根町教育委員会提供

 文化審議会は21日、神奈川県箱根町の仙石原と宮城野地区で安永時代から伝わる「箱根の湯立獅子舞」を国指定の重要無形民俗文化財に指定するよう答申した。指定されれば同町では初めて。仙石原と宮城野の祭りなどで公開される神楽で、獅子頭をかぶって人々に湯を振りかける「湯立」を行う珍しい芸能。保存会は「後世に残す重要性を痛感している。地域の人々に協力いただき、継承していきたい」と話す。

 町教育委員会によると、湯立獅子舞は1776(安永5)年ごろ、現在の山梨県富士吉田市周辺の人が箱根へ伝えたとされる。地域によって演目や作法が異なり、仙石原では、仙石原諏訪神社例大祭(3月27日)と公時神社例大祭(5月5日)に、宮城野では宮城野諏訪神社境内の津島神社の天王祭(7月15日)に実施されている。1976年に県指定の無形民俗文化財に認定されていた。

 境内に置いた釜の湯をササの束などでかき混ぜ、飛び散る湯がかかることで身が清められるとされる。笛や太鼓に合わせて「宮舞」「行の舞」などの演目も行い、一連の神楽に獅子舞が組み合わされた芸能は希少という。

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