開幕1軍は想定せずも… DeNA三浦監督がドラ1小園のキャンプ1軍を訴えた理由とは?

DeNA・三浦大輔監督【写真:荒川祐史】

開幕1軍は想定せず「そこに照準を合わせることはない」

弱冠18歳の1軍帯同には、三浦大輔監督の強い思い入れが見え隠れする。DeNAの1、2軍首脳陣、三原一晃球団代表らが21日、オンラインでスタッフミーティングを開き、春季キャンプの1、2軍振り分けなどを議論。ドラフト1位の小園健太投手(市和歌山高)ら新人4人の1軍スタートが決まった。1軍は沖縄・宜野湾市のアトムホームスタジアム宜野湾、2軍は同・嘉手納町の嘉手納野球場で、それぞれ2月1日にキャンプインする。

ルーキーでは小園のほか、ドラフト2位の徳山壮磨投手(早大)、4位の三浦銀二投手(法大)、6位の梶原昂希外野手(神奈川大)が1軍キャンプに参加。大学勢3人はともかく、小園の1軍帯同には、スタッフミーティングでも様々な意見があったという。三浦監督は「いろいろな意見があり、話し合いを重ねた」と明かす。その中で指揮官が自ら「育成のプログラムは宜野湾(1軍キャンプ)でもできる。まずはDeNAの主力投手を間近で見て、そのレベルを肌で感じさせたい」と主張したという。

とはいえ、開幕1軍を想定しているわけではない。「そこに照準を合わせることはない」と指揮官は明言する。体力不足は承知の上で、「状態を見ながら、しっかり育成のプログラムを組んでいく。(他の1軍選手と)全て同じメニューというわけにはいかないだろうから、こちらでコントロールしながらやっていく」と慎重だ。それでも、小園に1軍のレベルを実感させることにはこだわった。

小園の背番号「18」は、三浦監督がエースの座に君臨した現役時代に付けた番号だ。2016年9月20日の現役引退発表に際し、永久欠番に近い“横浜ナンバー”に指定され、「今後ふさわしい選手が現れるまでは空き番とし、継承については球団と三浦が協議して決める」と定められた経緯がある。そもそも“ハマの番長”のお眼鏡にかなった投手だけが、付けることを許される番号ともいえる。

高校生投手のドラフト1位は10年ぶり

小園に継承させたいのは、背番号だけではない。これまでDeNAのドラフト1位は大学生の即戦力タイプの投手が多く、その中から山崎康晃投手(2014年1位=亜大)、今永昇太投手(2015年1位=駒大)、浜口遥大投手(2016年1位=神奈川大)、東克樹投手(2017年1位=立命大)らはチームの主力となっている。

一方、高校生投手のドラフト1位は2011年の北方悠誠投手、以来10年ぶり。高校生でベイスターズに指名され、入団後に2桁勝利を挙げた投手は現時点では山口俊投手(2005年高校生ドラフト1位=現巨人)が最後だ。

そんな中、小園は高校ナンバーワン投手の呼び声が高く、阪神との1位指名重複を経て獲得した逸材。そして他ならぬ三浦監督自身、1991年ドラフト6位で、奈良・高田商高からDeNAの前身の横浜大洋に入団。1年目に早くも1軍デビュー(10月に1試合、2イニングを投げ無失点、勝ち負けなし)を果たし、エースへの階段を上り始めた。「当時は奈良から出てきて、横浜がどこにあるのかも知らず不安だった。1軍の投手のレベルを見て自信を失いかけたこともあったが、『ハマスタのマウンドで投げるぞ』という初心が、自分のプロ生活の支えになった」と回想。時代は違っても、高卒ルーキーの心境は胸に刻まれている。

チームに久しぶりに現れた“高卒の星”に、英才教育を施す三浦監督。1年目から数字を残せるに越したことはないが、輝かしい未来へ向け、まずはしっかりした足掛かりを築いてほしいところだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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