九州電力の池辺和弘社長は長崎新聞の新年インタビューに応じ、松浦発電所(松浦市、石炭火力)について存続し低炭素化を図っていく方針を明らかにした。低炭素化に向けては燃焼時に二酸化炭素(CO2)を出さないアンモニアの混焼を検討していく考えを示した。
-昨年、温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル実現へのビジョンとアクションプランを発表した。
今年は具体的な取り組みを強力かつ着実に実行へ移す。再生可能エネルギーは主力電源化に向け、強みを持つ水力、地熱、洋上風力などの開発を国内外で加速する。原子力発電は最大限の活用に向けて安全確保を大前提とした安定運転を継続する。家庭などの電化も推進していく。
-石炭火力はどうするか。
火力発電は(時間帯や天候によって)太陽光で発電できない場合の電気をつくるなど再エネ拡大に不可欠な調整力だ。非効率な石炭火力はフェードアウトするが、廃止という考え方ではなく発電量を落とす方法もある。また、2030年までにアンモニアを20%混焼する技術を確立する。
-松浦発電所は存続し低炭素化を図っていくか。
そうだ。今のところ松浦1、2号機ともに大事な電源だと思っている。
-松浦の低炭素化で可能性が高い取り組みは。
アンモニア混焼だ。
-アンモニア混焼の対象は松浦と熊本県の苓北発電所になると思われるが、いつ、どこで始めるか。
決めていない。まずは燃やせるかどうか検討していく。試験はどちらかですると思うが、最終的には両方ともアンモニアを混焼し、排出されるCO2は(排出ガスからCO2を取り出し地中に閉じ込める)CCSなどを考えていく必要がある。
-佐世保市の相浦発電所の跡地利用について。
きちんと決めるような話はまだない。
-県と佐世保市が誘致を目指す、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)への関わり方は。
九州経済連合会が応援しており、経済界の一員として応援する。出資などは今のところ検討していない。