九州・沖縄県紙交換企画【SDGsの姿 2022】ー3ー 麦わらストローの作り方伝授(長崎県佐世保市)

プラごみ減環境守る

大麦のわらを使ってストローを作る生徒=佐世保市、佐世保商業高

 長崎県佐世保市の県立佐世保商業高は、大麦のわらで作ったストローの普及を目指すプロジェクトを進めている。高校生が作り方を小中学生らに伝え継ぎ、廃プラスチックの削減につなげる取り組み。身近なところから環境保護の担い手の輪を広げている。

 昨年、同校の生徒が市内の中学校と特別支援学校の生徒の前に立った。使用済みのプラスチック製品が海に流れ込み生態系に悪影響が出ていること、海洋汚染が深刻化する中、麦わらを使った昔ながらのストローが注目されていることなどを説明し、作り方を伝授した。

 取り組みを進めるのは国際コミュニケーション科の2年生40人。1年生の時にSDGsの理論を学び、2年の本年度は「実践の1年」と位置付けている。辻和桜さん(16)は「(麦わらストローが)環境を守るための新しい手段であることを知ってほしい」とし、波及に期待する。

 「SDGs」の取り組みが身の回りにあることを伝えたい-。こんな思いを抱え、活動をスタートさせた。訪問した学校からは「これからやってみたい」「給食時に導入したい」との声も。麦わらの節と節の間で切って完成する簡単さもあって反応が良く、高校生は手応えを感じている。

 新年度は後輩たちに主な活動を引き継ぐ。一区切りを迎える3月までに英語と中国語、韓国語で作り方を説明する動画作りに入る計画で、ユーチューブで海外への配信を予定している。

 吉原結衣さん(17)は期待を込める。「環境問題は人間の行動が原因だけど、実際に行動に移す人は多くない。私たちが動くことで世界を救えるのではないかと思った」。誰かが一歩踏み出すきっかけになりたいと活動を続ける。(長崎新聞・山口紗佳)

 【メモ】時代とともにプラスチック製に変化したが、ストローの“原点”とも言える。使うのは、ビールなどの原料となる麦を収穫した後に残ったわら。使用済みのストローは土に戻すことが可能で、環境への負荷を軽減できる。

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