“株式型CF”で上場目指す 平戸の加工食品製造「アイル」 25日から5日間

 株式上場を目指す農産品加工食品製造、販売のアイル(長崎県平戸市田平町)が25日午後7時半から、「株式型クラウドファンディング(CF)」による出資を募る。期間は30日午前0時まで。2700万円を超えない場合は不成立となる。株式上場を目指すことに特化した同CFで上場を目指す県内企業は初めて。
 同社は東証の市場再編に伴い新設される3市場のうち、成長が見込まれる企業が対象の「グロース市場」への2025年度の上場を目指す。実現すれば本県に本社を置く株式上場企業は19年3月以来となる。
 同社は06年創業。規格外のため市場に出回らず、廃棄される野菜をペースト状にして、寒天を組み合わせてシート状食品に加工した商品「VEGHEET(ベジート)」を製造、販売している。ベジートはベジタブル(野菜)とシートを組み合わせた造語で、野菜の栄養素を逃さず商品化。18年から全国販売を始め、おにぎりなど総菜商品のノリの代わりとして、栄養価を高めたり、色彩の多様化を図ったりする素材として、外食業界、大手商社・百貨店などに浸透。今春から100円均一ショップでの販売も予定している。
 同社は国内で規格外の野菜、果物の廃棄量が年間約500万トンもあることや日本の食料自給率が3割台と低いことに着目。食品ロス縮減、持続可能な農業実現、事業規模拡大による地域経済貢献などを目指し、CFで広く出資を募る。
 資金調達により規格外の果物、調味料にまで広げて商品を多様化し、人材確保や海外展開加速化の実現を図る。売上高は21年度3400万円で、26年度の目標を45億円としている。
 同社の早田圭介代表取締役は「19年に県内から株式上場企業が途絶えている。多くの出資を得て上場を実現したい」と話す。CFの詳細は、https://fundinno.com/projects/321、問い合わせは同社(soda@soudajp.com)へ。


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