ベルトラン・バゲット、TEAM IMPUL加入に喜び。平峰一貴も“速いチームメイト”を歓迎

 1月25日、三重県の鈴鹿サーキットでスタートしたスーパーGTのメーカーテスト。この日、ニッサン/ニスモからは2022年のGT500クラス参戦ドライバーラインアップが発表されたが、ファンにとっても驚きのひとつとなったのが、2021年までホンダで戦っていたベルトラン・バゲットのTEAM IMPUL加入だ。この日、バゲットは鈴鹿で初めてチームとともにテストをこなした。

 ベルギー出身のバゲットは、F1のテストドライバーも務めた経験があるドライバー。2010〜2011年にはアメリカでインディカー・シリーズに参戦。その後ヨーロッパへ戻りWEC世界耐久選手権に参戦すると、LMP2クラスのチャンピオンを獲得した。さらに日本でのキャリアアップを求めたバゲットは2013年に来日したが、以降は一貫してホンダのドライバーとして戦ってきた。

 そんなバゲットは2021年12月、ホンダ離脱を表明していたが、この日、ニッサン/ニスモから発表されたとおり、TEAM IMPULに移籍。ニッサンドライバーとしてスーパーGTを戦うことになった。

 バゲットは鈴鹿で12号車ニッサンZ GT500を初ドライブしたが、「今回がチームに加わって初めてのテストだけど、雰囲気も素晴らしいし、温かく迎えてもらってうれしく思っているよ。競争力もすごく感じているね。チャンピオンになれるように自分のできる限りをしていきたいし、プッシュしていきたいね」と新たな環境に対し笑顔で語った。

「星野一義サンのような日本のレジェンドのためにレースができることは誇りだし、これまでもたくさんの名ドライバーがこのチームに在籍していたよね。TEAM IMPULから選手権を戦えることが本当に嬉しいんだ」

 バゲットに代わってホンダに移った松下信治同様、気になるのはマシンフィーリングの違い。これについてバゲットに聞くと、好感触を得つつも、まだ開発中であるとし明言は避けた。

「午前に少しドライブしたけど、ファーストインプレッションは良いものだったよ。ニッサンのファミリーとしても初めてのテストだけど、今後テストを重ねていけばもっと良いものになるはずだ」とバゲット。

「今日はあまりドライブしていないし、何より新しいクルマだからね。まだまだ開発しなければいけないところは多い。でも僕が昨年ドライブしたAstemo NSX-GTはすでに開発しきっていて、問題もなく速いクルマだった。だから、フィーリングの違いを語るのは開幕戦にしておくよ(笑)」

TEAM IMPULの12号車ニッサンZ GT500

■以前から交流があったバゲットと平峰

 そして今季チームメイトとなる平峰一貴は、じつは「以前から知っている間柄」なのだという。平峰がJLOCからGT300を戦っていた頃にコンビを組んでいたマルコ・マペッリを通じて、バゲットと平峰は食事もともにした経験があるとか。

「新しいチームメイトのカズキとは、いつかチームメイトになれたら嬉しいと思っていたんだけど、実現して嬉しいよ。彼は速いし、お互いに高め合っていけば強力なコンビネーションを築けると思う」とバゲット。

 また平峰も「まさかその頃は組むことになるなんて思わなかったです」というが、バゲット加入は平峰にとっても喜びだったという。

「すごく嬉しいです。今まで僕は(佐々木)大樹、松下、そして今年はバゲットさんと、すごく速いドライバーと組むことができているんです。いろんな走り方を知っているドライバーたちですし、バゲットさんもヨーロッパのフォーミュラで戦いF1でテストもして、海外でいろんな経験もしてきている人です。それに、ホンダにいた頃は僕たちより前にいたドライバーなので、いろんなことを学びたいです。楽しみですね」

「今までマルコ(マペッリ)やサッシャ(フェネストラズ)とも組んでいましたし、外国人がチームメイトの方が向いてるとも言われるくらいです。とにかく速いドライバーと組んでいる方が、自分にとっても良いプレッシャーにもなりますし、経験にもなりますからね」

 この日、取材している際にも平峰とバゲットはお互い冗談を言い合い、早くもチームメイトとしてかなり良い関係ができあがっていることをうかがわせた。また平峰、そして2021年までドライバーとして戦っていた星野一樹がドライバー目線でバゲットにアドバイスを送っている。「今日もカズキさんがコーナーから観ていて、走り方などアドバイスしてくれたんだ。今年戦ううえで、チームにとっても素晴らしい存在になると思っているよ」とバゲットも星野一樹の存在が助けになっていると語る。

 新しいZ GT500、そして新たな体制、ラインアップで挑むTEAM IMPUL。2022年は昨年を上回る活躍が期待できそうだ。

スーパーGT鈴鹿メーカーテストで、タイムを見ながらS字から走りをチェックしていた星野一樹

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