世界がようやく発見した才能 画家ヒルマ・アフ・クリントに迫る 「見えるもの、その先に」公開決定

スウェーデンの女性画家ヒルマ・アフ・クリントを追ったドキュメンタリー映画「見えるもの、その先に ヒルマ・アフ・クリントの世界」が、4月より劇場公開されることが決まった。

ヒルマ・アフ・クリントは、1862年にスウェーデンで生まれた画家。王立美術院で学び、伝統的な絵画で成功を収めたが、妹の死などを経て神秘主義に傾倒し、独創的な絵画を手掛けるようになる。その独創性は同じ思想を持つ4人の女性芸術家と結成した「5人」の活動や、ルドルフ・シュタイナーとの出会いで、輝きを増していく。しかし、同時代の画家たちが新たな芸術作品を発表する中、彼女は自身の革新的な作品を世に出さず、自分の死後20年間は公表を禁じてこの世を去った。

抽象的絵画の先駆者でありながら、長らくその存在を知られていなかったものの、近年認知されて評価を急速に高めているヒルマ・アフ・クリント。2019年のニューヨーク・グッゲンハイム美術館で開催された回顧展は同館史上最高の動員を記録し、ラッセ・ハルストレム監督が最新作「Hilma」で生涯を描くなど大きな注目を集めている。

「見えるもの、その先に ヒルマ・アフ・クリントの世界」では、自身の死後20年は作品を公表しないよう言い残して世を去り、美術史からも拒絶されていた彼女の謎に包まれたその生涯や、彼女を拒んだ美術史の裏側について、キュレーター、美術史家、科学史家、遺族などの証言と、彼女が残した絵や言葉から解き明かしていく。

【作品情報】
見えるもの、その先に ヒルマ・アフ・クリントの世界
2022年4月より、ユーロスペースほか全国順次ロードショー
配給:トレノバ

© 合同会社シングルライン