小田原のアオキ画廊、市民芸術家支え40年 1月末で閉館

約40年の歴史に幕を下ろすアオキ画廊で最後の展示会を開いた近藤さん(左)と画廊代表の黒石さん=小田原市栄町

 小田原駅前で40年以上、市民芸術家らの作品発表の舞台となってきたアオキ画廊(小田原市栄町)が31日に閉館する。最後の展示会として書家・近藤久江さん(79)が筆を執り50年にして初の個展を開いており、親子2代にわたり画廊を営んできたオーナーの黒石家子さん(64)は「今まで多くの人々の晴れの舞台を支えることができた」と感慨深げに振り返る。

 小田原駅東口の小田原銀座通りに立つ3階建てのビル。黒石さんの父・青木登さんが1963年に建て、当初は理髪店を営んでいた。しかし、音楽や絵画の鑑賞が趣味だった青木さんは「人々が集まって喜んでもらう場所に」との願いを込め、79年にビルを増築して画廊を併設した。

 駅前の立地条件もあり、本業はいつしか理髪店から画廊に。青木さんが2006年に亡くなった後、黒石さんが遺志を引き継いだ。

 しかし、昨年9月には新しい文化拠点として小田原三の丸ホールがオープン。画廊の建物は老朽化が進み「いつまでも画廊を続けることはできない。お客さんに対しても区切りをつけることも大事」(黒石さん)と閉館を決めたという。

 市内で水墨画教室「遊墨会」を主宰する近藤さんと画廊の出合いは15年。仲間と予定していた展示会の会場の閉鎖が急きょ決まり、アオキ画廊に駆け込んだ。今回は3度目の展示で、これまで書きためた水墨画や書道作品など約100点を集めた。

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