殿堂入り投票 有資格初年度でまさかの脱落となった名選手たち

2022年度のアメリカ野球殿堂入り投票は、バリー・ボンズ、ロジャー・クレメンス、カート・シリング、サミー・ソーサの4人が有資格最終年となる10度目のチャレンジでも得票率75%未満に終わり、記者投票による殿堂入り資格を喪失した。しかし、殿堂入り投票の投票用紙に名前を残し続けるのは至難の業であり、有資格期間の10年を完走できたのは誇れることと言っていいだろう。メジャーリーグ公式サイトのデービッド・アドラー記者は有資格初年度で得票率5%未満に終わり、まさかの脱落となった名選手たちを特集している。

殿堂入り投票では、得票率75%以上の候補者が殿堂入りを果たすのに対し、得票率5%未満の場合は次回以降の投票用紙から名前が削除されてしまう。つまり、有資格期間の10年を完走するためには、毎年5%以上の得票率を確保する必要があるのだ。有資格期間の10年を完走するのは決して簡単なことではなく、わずか1年で投票用紙から名前が消えた名選手も数多くいる。

ジム・エドモンズはエンゼルスやカージナルスで活躍し、通算1949安打、393本塁打、1199打点、OPS.903をマークしたほか、ゴールドグラブ賞を8度も受賞した名中堅手だが、2016年度の殿堂入り投票で得票率わずか2.5%に終わった。ブルージェイズの主砲として活躍したカルロス・デルガドは通算2038安打、473本塁打、1512打点、OPS.929を記録した強打者だが、2015年度の殿堂入り投票で得票率3.8%しか獲得できなかった。インディアンス黄金期のリードオフマンとして活躍したケニー・ロフトンは、通算2428安打、打率.299、622盗塁、ゴールドグラブ賞4度の実績を誇るが、ボンズやクレメンスと初登場のタイミングが重なるという不運もあり、2013年度の殿堂入り投票で得票率3.2%しか得られず脱落。通算2743安打、打率.303、219本塁打、1326打点の好打者アル・オリバー(1991年度に得票率4.3%)、通算2472安打、248本塁打、1389打点をマークした強打の捕手テッド・シモンズ(1994年度に得票率3.7%)、通算200本塁打、ゴールドグラブ賞5度、オールスター・ゲーム選出11度の名捕手ビル・フリーハン(1982年度に得票率0.5%)らもわずか1年で脱落となった。

投手では、1990年代を代表する好投手として活躍し、史上初の「1億ドル・プレーヤー」となったケビン・ブラウン(通算211勝)が2011年度の殿堂入り投票で得票率2.1%に終わった。1999年に完全試合を達成するなど、通算194勝をマークしたデービッド・コーンも2009年度の殿堂入り投票で得票率3.9%しか獲得できずに脱落。サイ・ヤング賞2度を含む通算167勝を挙げたブレット・セイバーヘイゲン(2007年度に得票率1.3%)や鮮烈なデビューを飾り、メッツの絶対的エースとして一時代を築いたドワイト・グッデン(2006年度に得票率3.3%)も有資格2年目を迎えることすらできなかった。そして、21年間のメジャー生活で14度の2ケタ勝利を含む通算240勝を記録したフランク・タナナは1999年度の殿堂入り投票に初登場したものの、まさかの0票。4000イニング以上を投げ、240勝、143完投、2773奪三振を積み上げた実績は全く評価されなかった。

アドラー記者が紹介したこれらの選手のうち、シモンズは2020年度のベテランズ委員会の選考で殿堂入りを果たしている。他の選手たちにもシモンズのように「救済」される日はやってくるのだろうか。

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