【新型コロナ】感染の猛威が保育現場直撃 相次ぐ休園、滞る疫学調査「こんな状況いつまで」

感染防止策の徹底に向け、園児の外遊び中に玩具を消毒するこども園の職員=秦野市

 新型コロナウイルスの猛威が、神奈川県内の保育現場を直撃している。園児や職員の感染判明で休園を余儀なくされる施設が相次ぐ一方、保健所の疫学調査が滞り再開時期が見通せないケースも続出。子どもを預けられず、就業に影響が及ぶ保護者には、困惑と不安が広がる。「こんな状況がいつまで続くのか」…。社会機能の維持に不可欠な子育てインフラが、感染急拡大に揺れている。

 「奇跡的に保育を継続できているが、いつ陽性者が出るかと毎日びくびくしている」。横浜市内にある認可保育園の園長(72)は警戒を強める。

 22日夕、PCR検査で陽性が出たと保護者から電話があった。大事をとって数日前から休んでいた園児は陰性だったが、確認のため保健所に連絡。ところが、何度かけても通話中でつながらない。保健所の疫学調査が実施されない限り再開できないため必死で電話をかけ続け、ようやく「閉めなくてよい」との確認を得られた。24日以降の通常開園にこぎ着けたものの、園長は「園が閉まったら仕事ができない保護者も多い。何とかしのぎたい」と打ち明けた。

 横浜市によると、市内の保育所は今月1~19日に延べ115施設が休園。県内全体(151施設)の8割近くを占め、第5波が到来した昨年8月(259施設)の休園数を「軽く超えるペース」(市担当者)だ。

 中には10日間以上休園する施設があるほか、感染者急増による保健所業務の逼迫(ひっぱく)で園への調査が滞るケースも少なくない。市担当者は「今後もできる限り保育を止めない形を模索したい」とするが、感染拡大に歯止めがかからない状況に危機感を募らせている。

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