北朝鮮工作船事件から20年 緊迫の様子を動画で公開 海上保安協会がオンライン博物館

海上保安資料館横浜館に展示されている北朝鮮の工作船

 事件から丸20年、2001年12月に九州南西海域で発生した北朝鮮工作船事件を紹介するオンラインミュージアムが21年末、公開された。海上保安庁の当時の対応をまとめた動画のほか、工作船本体など海上保安資料館横浜館(横浜市中区)の所蔵品の写真約100点が閲覧できる。企画した海上保安協会は「法にのっとり適正に対応した海保の姿を正しく伝えたい」としている。

 注目は約40分の動画で、工作船と実際に対峙(たいじ)した海保の巡視船から撮影された映像を基に編集された。

 事件では、奄美大島から北西に約230キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内で工作船が確認され、巡視船4隻や航空機が出動した。

 停船命令を無視して逃走を続ける工作船に、巡視船は威嚇射撃の後、2隻で挟撃する作戦を展開。工作船が自動小銃やロケットランチャーで攻撃してきたため撃ち合いとなり、工作船が自爆とみられる爆発を起こし、最後は沈没した。海上保安官3人が負傷し、工作船の乗組員10人の死亡が確認されている。

 公開された動画はこうした一連の経緯の記録で、船の位置関係が分かる図解も盛り込みながら、当時の緊迫した様子を伝えている。

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