【柔道】中学生の絞め技禁止に 「危険なスポーツ」払拭、神奈川県内の指導者「裾野広がる」

朝飛館長指導のもとで行われた絞め技の実演。4月以降、中学生は禁止される=横浜市神奈川区の朝飛道場

 全日本柔道連盟(全柔連)が中学生による絞め技の禁止を決めた。試合中に絞め落とされて意識を失うケースが散見され、成長期の心身への影響を考慮した判断だ。ただ、国際大会では引き続き認められており、選手強化の面では懸念の声も。東京五輪で9個の金メダルを獲得した「お家芸」。裾野を支える神奈川県内の指導者たちは肯定的に受け止めつつ、対応を模索している。

 全柔連は24日の臨時理事会で、少年大会特別規定の変更を決定。4月以降、従来から認められていなかった関節技とともに、絞め技も全面的に禁止となる。

 「技を覚えるのは遅くなるかもしれないが、危険防止につながり、ありがたい」。朝飛道場(横浜市神奈川区)の朝飛大館長(59)は大きな前進と捉える。

 柔道の絞め技は袖や襟などを使って頸部(けいぶ)を絞め、相手の「参った」や失神で一本勝ちとなる。東京五輪女子70キロ級で金メダルをつかんだ新井千鶴さんが準決勝で16分超の激闘を制したのも送り襟絞め。「一発逆転がある技」(朝飛館長)である半面、中学年代では頸椎(けいつい)へのダメージや、脳への血流が途絶えることの危険性が指摘されていた。

 「(掛けられた側が)少しでもやれることがあるのではないかと思うと『参った』が遅れてしまう」と朝飛館長。審判が危険と判断すれば一本と判定して試合終了を宣告できるが、「選手の頑張りを見ていると、どこで止めるのかを見極めるのは難しい」という。

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