平戸進出のKTX 新拠点完成 人工関節事業に参入 50人超雇用へ

平戸に進出したKTXの新工場「長崎平戸ラボラトリーズ」=平戸市田平町

 自動車など機械部品の金型製造を手掛けるKTX(愛知県江南市、野田太一社長)の新たな開発・製造拠点「長崎平戸ラボラトリーズ」が長崎県平戸市田平町に完成した。20日、現地で竣工(しゅんこう)式があり、同社関係者や黒田成彦市長ら約50人が出席して祝った。稼働は4月の予定。
 同社は県と平戸市が誘致し、昨年2月に立地協定を締結。機械部品の金型製造を手掛け、大手自動車メーカーなどと取引がある。本県進出に当たり、人工関節の開発、製造に参入。金型製造では、福岡へのアクセスの良さを生かし、九州の自動車メーカーとの取引拡大を目指す。
 約5億円を投資した新拠点は床面積660平方メートル。ドイツから輸入した大型加工機械「レーザーエッチングマシン」を設置。金型製造のほか、人工関節の仕上げなどに利用する。
 5年間で50人以上の雇用を予定。昨春採用した同町出身の西田祐一長崎平戸ラボラトリーズ準備室長を、新拠点の室長に起用する。
 今春は長崎県佐世保市内の佐世保高専、県立鹿町工業高の新卒者各1人を採用する予定。3年後の年間売り上げは同工場で10億円弱、全社で新型コロナウイルス感染拡大前の実績約50億円までの回復を目指す。
 本業のほか、近接する障害者福祉施設と連携し、工場敷地内で障害者と共にキクラゲ生産にも取り組む方針。
 式典後、野田社長が大型加工機械など設備の機能、性能を解説した。野田社長は取材に「県や市の補助制度、支援があったことは大きい。精密機械を設置するための安定した地盤と道路アクセスが条件で田平が合致した。長崎の優秀な人材に来てもらいたい」と話した。

平戸の新工場に導入した大型加工機械の性能などを説明する野田社長=平戸市田平町

© 株式会社長崎新聞社