コロナ禍で人気の車中泊、神奈川・逗子市の小坪港に貸し出し区画設置

小坪漁港の一角に設けられた車中泊の貸し出し区画=逗子市内

 神奈川県逗子市の小坪漁港に車中泊の貸し出し区画がお目見えした。漁獲高の減少に悩む小坪漁業協同組合と市が協力し、収入源を増やそうと企画した。市は「夜は近隣飲食店の利用も期待できる。朝が早い釣り船や、漁業体験などと組み合わせた商品の開発も考えたい」と話す。

 同漁協には漁師約30人が所属。魚の産卵場所となる藻場が減少する「磯焼け」の影響で、1989年度に398トンあった漁獲高は68トン(2020年度)に減少している。収入の多角化に向け近年、漁業体験イベントや海草「アカモク」の特産化などを進めている。

 車中泊区画の貸し出しは今年1月7日から開始。漁船が並ぶ風景が見渡せる一角を利用し、4台分を設けた。1区画は長さ8メートル、幅5メートルで、車1台の料金は1泊2千円。予約サイト「カーステイ」から申し込む。

 同漁協は「小坪は大河ドラマ『鎌倉殿の13人』にも登場する頼朝の愛妾・亀の前が住んでいた。おいしい魚介と美しい風景だけでなく、豊かな歴史も楽しんでほしい」と利用を呼び掛けている。

 市経済観光課は「新型コロナウイルス禍で車中泊は人気となっている。市内にはホテルや保養所などの宿泊施設が少ないため、宿泊の選択肢を増やすことにもつながる」と効果を期待する。

© 株式会社神奈川新聞社