ヤングケアラー支援 国が家事・育児サポート ヘルパー派遣へ

 ヤングケアラーを巡っては国や長崎県が実態調査をし、民間も含め相談窓口の開設など対策に乗り出している。国の調査では、支援が必要なケースでも子ども自身や周囲の大人が気付くことができないといった課題が浮かび、国は新年度からの3カ年を「集中取組期間」と位置付ける。
 県が県内の公私立の小中高と特別支援学校計590校の児童生徒約13万1千人を対象に昨年実施した調査で、ヤングケアラーの可能性がある子どもが304人いた。内訳は小学生68人、中学生80人、高校生154人、特別支援学校2人。
 国も昨年、全国の実態調査結果を公表。公立中754校と全日制高249校の2年生を対象にアンケートを実施し、中学生5558人、高校生7407人から回答を得た。このうち「世話をしている家族がいる」とした中学生が5.7%(約17人に1人)、高校生が4.1%(約24人に1人)いた。小学生や大学生を対象にした調査も実施しており、年度内に結果を取りまとめる。
 中高生のアンケート結果で8割以上がヤングケアラーについて「聞いたことがない」と回答。国は社会的な認知度の向上や支援に向けて集中的な対策に取り組む方針。ヘルパーを派遣し家事・育児を支援するなどの事業を始める。新年度予算案には教育や福祉など関係機関職員の研修や、パイプ役となるコーディネーターの自治体配置などの事業費を盛り込んでいる。
 民間では一般社団法人ヤングケアラー協会が、40歳未満の「若者ケアラー」を含め当事者が悩みを共有する無料のオンラインコミュニティー「Yancle(ヤンクル)コミュニティー」を運営。県内では一般社団法人「ひとり親家庭福祉会ながさき」(長崎市)が総合相談窓口を開設している。


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