巡視艇「きりかぜ」引退 検挙392件、53人救助 横浜の海守るため活躍

解役式で巡視艇「きりかぜ」の番号「CL36」を消す乗組員=横浜海上防災基地

 横浜海上保安部は31日、老朽化により引退する巡視艇「きりかぜ」(23総トン)の解役式を横浜市中区新港の横浜海上防災基地で行った。27年にわたり、主に横浜港や東京湾内への不法投棄の取り締まりに従事、美しい海を守るために活躍した。

 きりかぜは1994年に就役し、汚染水の排出や廃棄物投棄などを取り締まる第3管区で唯一の「環境事犯取締強化指定船」。科学捜査に精通した海上保安官が乗り込み、国内最大の京浜工業地帯の海上などで工場排水を採取・分析した。関係した検挙件数は392件に及ぶほか、救助活動でも活躍し、海難出動件数は270件、53人を救助した実績がある。

 解役式では乗組員が船尾の国旗と海保の庁旗を降ろし、船体に塗られた番号を消した。

 最後の船長となった中三川弘和さんは「歴代の乗組員が大切にしてきた船。この船に乗船、勤務できたことを誇りに思う」と話していた。近く後継の新型船が導入される。

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