新潟県の持続的な水産業実現へ向けた検討会議が開催、県は漁業者と関連事業者の連携などを盛り込んだ戦略を今年度中に策定

第4回 新潟県水産振興戦略検討会議の様子

新潟県は1日、水産業に関わる業者と共に、持続的な水産業の実現へ向けた戦略を策定するための「新潟県水産振興戦略検討会議」を開催した。2021年6月から4回に渡って実施してきた同会議は今回で最後となり、県では今回の検討結果を踏まえ戦略を今年度中に策定、公表する。

新潟県内では、水産業の生産量・生産額が共に減少傾向にあると同時に、高齢化による漁業者数の減少も深刻になっている。

こうした状況を鑑み、県では持続的な水産業の実現へ向け、昨年度から関係業者へのヒアリングや地域でのディスカッションを実施。今年度からは、漁業関係者だけでなく加工・流通・販売関係者、また消費者や自治体などを交えて戦略を策定する検討会を開催している。

第4回となる今回は、これまでの検討の振り返りを行うとともに、県は「県内の漁業者と関連する事業者が連携し、限りある水産資源の付加価値を高め、県産水産物の需要を拡大することで、関係者全体の所得を向上し、持続的な水産業を目指す」という将来像案を打ち出した。

また前回会議までに、「担い手の確保と育成」、事業者間の連携を深めることによる「県産水産物の付加価値向上」、「需要の喚起」という3つの方向性が示されていたが、これを元に今回は、今後の推進体制についても議論。県では、戦略の浸透を目的とした水産関係者への説明・研修会の実施や、各地区のプロジェクトの取り組みを支援・他地区への展開を実施する。

一方で県は、方向性にも示された事業者間の連携が重要だとし、各地で戦略の実践に向けたプロジェクトチームを漁業者と流通、加工などの関連事業者で結成することを提案。水産団体や県、自治体がサポートしながら、観光との連携や加工品の開発、情報販売などの取り組みの計画の策定を実践を加速していくという。

会議ではこのほか、石川県金沢の漁獲情報の発信や青森県のウスメバルの観光資源化などの成功事例について紹介されたほか、県水産進行戦略の策定に向けて議論を行った。県では今回の議論も踏まえ、年度内の戦略策定を目指す。

(文・鈴木琢真)

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