令和の今振り返る、平成に生産終了になった名車3選

収容力に優れた軽自動車や燃費性能に優れたエコカー、そして全世界で売れ筋のSUV、未だに販売の主力であるミニバン……現在「売れるクルマ」の形態は、このように固定化されてきている。2021年中で生産を終了したホンダ オデッセイや、2022年3月にはホンダの軽スポーツカー「S660」が生産終了(現在はすでにオーダーストップ)となるなど、時代を支えた名車やスポーツカー、スペシャリティカーたちが次々と姿を消している。令和も4年目がはじまった今、平成に生産中止になった名車3選をお届けする。

日産 サニー(6代目・トラッドサニー)

日本を代表する大衆車だった「日産 サニー」

日産 初代サニー

1台目に紹介するのは、言わずと知れた日本を代表する大衆車だった「日産 サニー」。初代(B10型)がデビューした1966年からトヨタ カローラと覇を競い合っていたが、2004年に後継のラティオ(ティーダ ラティオ)にその座を譲って生産が終了。全9世代、38年の歴史に幕を閉じている。

サニーは経済の発展とともに排気量とボディサイズの拡大、装備の充実が進んだが、どの世代も常にファミリーカーの本質である親しみやすさと経済性、実用性を持ち続けていた。後継のティーダ ラティオは従来の同クラスセダンの常識を破る室内の広さを誇り、評価も高いクルマだったものの、外観からは「クルマらしい」3ボックスセダンの面影は消失している。

その後も国内のセダン市場は縮小が続き、2016年にはラティオまで生産中止となり、1966年から続いた伝統あるこのクラスのセダンが日産から消滅することに。その後、サニーのポジションはノートが担っている。

斬新なデザイン、画期的な設計をもった「ホンダ トゥデイ」

ホンダ 初代トゥデイ

次に紹介するのは、1985年にデビューした「ホンダ トゥデイ」。

初代トゥデイは、全高がなんと1315mm。その代わり、パワートレーンの前後長を切り詰め、タイヤを四隅に追いやって、可能な限り広い室内を確保することに。その結果、ボンネットとフロントウインドウの角度が近いワンモーションフォルムが誕生し、当時としては斬新なデザイン、画期的な設計を持つ意欲作だった。

1993年には2代目へとフルモデルチェンジ。今やホンダの軽自動車はベストセラーの一角に入っているが、驚くことに1974年から初代トゥデイが発売されるまでの11年間、ホンダは軽自動車を作っていなかった。その意味でも、トゥデイの存在は決して忘れられない物だろう。

なお、トゥデイは1998年で生産を終え、後継は軽トールワゴンのはしりである「2代目ライフ」が務めた。

マツダの誇るロータリースポーツ「RX-7」

マツダ サバンナRX−7

最後に紹介するのは、マツダの誇るロータリースポーツ「RX-7」。

マツダの宝、ロータリーエンジン(RE)を搭載するスポーツカーとして1978年に初代(SA22C型)サバンナRX−7が登場。初代は名前が示す通り、サバンナ(海外名RX−3)の後継にあたる。低いノーズの下に収まる12A型REは当初130psで、のちにターボを備えて165psまで強化された。

その後、1985年には2代目(FC3S/3C)にスイッチ。正式な車名にはまだサバンナが冠されていた。高級感もあるモダンなデザインとインタークーラーターボ付き13B型REより本格的なスポーツカーに進化している。当初185psだった馬力は、最終的には215psを発揮するまでに。

そしてRX−7として最後のモデル、3代目(FD3S)は1991年にデビュー。マツダ5チャンネル戦略のため「アンフィニ」ブランドで扱われた。外観はRX−7のアイデンティティを残しつつ流麗なデザインに変わり、改良やパワーアップを行いながら2002年まで販売され、終焉を迎えている。後継はRX−8だが、こちらもすでに生産終了。REを積んだ新型スポーツカーの登場が期待されている。

かつてのRVブームが現在のSUVに進化したように、今後も復活するジャンル、モデルはあるのか? 電動化へと進む自動車カテゴリーの未来やいかに。

[筆者:望月 達也(MOTA編集部)]

© 株式会社MOTA