1秒遅い“GTE改”コルベット「フラストレーションが溜まるレースだった」/IMSAデイトナ24時間

 IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のGTDプロクラスにシボレー・コルベットC8.R GTDで参戦しているコルベット・レーシングのアントニオ・ガルシアは、開幕戦デイトナ24時間レースを下位に沈んで終えた後、チームにはまだ「学ぶべきこと」があると語った。

 2台のシボレー・コルベットC8.R GTDで、今季新設されたGTDプロクラスでの初陣に臨んだ同チームだったが、2台ともにトラブルに見舞われ、クラス6位とクラス10位でレースを終えていた。

 ガルシアが、ニッキー・キャッツバーグ、そしてともに2021年のGTLM王座を獲得したジョーダン・テイラーとステアリングを共有した3号車は電気系トラブルに悩まされ、夜中にオルタネーターの交換作業を強いられた。

 一方、トミー・ミルナー/ニック・タンディ/マルコ・ソーレンセンがドライブした4号車は、9時間目に入ってソーレンセンがGT車両に当てられたことでディフューザーを破損、さらにエキゾーストパイプを曲げてしまい、3号車よりも多くの時間をガレージで過ごすこととなった。

 今回GTDプロクラスにデビューした車両は、本来GTE規則に基づいて作られたC8.Rを、最低重量の増加、出力低下、ミシュランのカスタマータイヤ、アンチロック・ブレーキシステムの追加、ウイングへの15mmのガーニー追加などによって、GT3スペックに適合させたもの。2024年に新たなGT3車両がデビューするまでの間、アメリカ国内のみでホモロゲートされたこの仕様を走らせることを、IMSAはシボレーに対し認めている。

「もっと距離が短ければ……という類のレースだった」とガルシアは語っている。

「僕らは多くのことを学んだが、学ぶべきことはまだまだある。この(カスタマー)タイヤについて学ぶための、25か26のスティントが経験できた。そう、これはレースコンディションにおける初めてのリアルなテストだった」

「両日とも、僕らにはペースが足りなかった。多くを得ることはできた。もしさらなる追加のテストができるなら、僕らはいろいろなものを見つけることができるはずだ」

「最終スティントでは、少し足りないことが分かった。もし僕らがリードラップにいたら、もう少しコンペティティブだったと思う」

 テイラーは、夜のうちに13ラップの後退を強いられたオルタネーターのトラブル以外、3号車は「無傷で、非の打ち所がなかった」という。

「戦略とピットストップは素晴らしかった」とテイラー。

「チームがとてもうまく機能しているのはいいことだ。(オルタネーターの)トラブルは残念だった。それがなければ、トップ5あたりにはいられただろう」

「さらなる走行距離を稼げたのは良いことだし、チャンピオンシップを考え、メカニックたちがマシンをコースに戻してくれたことも良かった。ライバルの脱落もあり、僕らはいくらかのポイントを得ることができた」

ミルナー/タンディ/ソーレンセン組の4号車は、完走車両中クラス最下位の10位に終わった

 現在発表されている今季の唯一の参戦レースとなったタンディとミルナーは、レースに勝てるクルマだとは感じていなかったという。

 コルベットは、デイトナ前の公式テスト『ロア』と、デイトナ24時間のレースウイークで、BoP(性能調整)の変更が2度、行われた。この変更は、1周のラップペース向上には寄与したように見えたが、クラス優勝を争う位置につけるには充分ではなかったようだ。

 コルベットの最速レースラップはガルシアによる1分46秒073で、KCMGの2号車ポルシェ911 GT3 Rでローレンス・ファントールがマークしたクラス最速タイムから、ほぼ1秒遅いものだった。

「根本的なペースを考えると、勝てるクルマではなかったと思う」とミルナーは語っている。

「この種のレースは、最後まで分からないものだ。最後までトップの近くにいれば、何かが起こる可能性はある」

「そうすることが僕らの目標のひとつだったけど、どう考えてもそれを達成するのは無理だった。その観点からは、フラストレーションが溜まるね」

 コルベットは第2戦セブリング12時間レースからはエントリーを1台へと減らす予定だ。GMスポーツカーレース・プログラム・マネジャーのローラ・ウォントロップ・クラウザーはSportscar365に対し、セブリングで2台体制を採らないことを明らかにしている。タンディとミルナーがGTE仕様の64号車とともに、(併催される)WEC世界耐久選手権に参戦するためだ。

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