2023年RSC投入のGen3が2回目の集中テスト。ジェームス・コートニーも参加し新開発タイヤも装着

 2023年より正式導入がアナウンスされている新車両規定“Gen3”を採用する『フォード・マスタング・スーパーカー』と『シボレー・カマロZL1スーパーカー』が、RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ主催のセカンドテストを実施。

 前回同様オーストラリアはイプスウィッチに位置するクイーンズランド・レースウェイで2日間のプログラムをこなし、ワンメイクタイヤ供給を担うダンロップが新開発した“スーパーソフトタイヤ”などを装着。2010年シリーズ王者ジェームス・コートニーらがステアリングを握っている。

 今回の走行では、クルマの信頼性を中心にいくつかの新パーツも評価され、足元にはブルーレターが新鮮な2022年仕様ダンロップ・スーパーソフト・コンパウンドも投入された。

 フォード陣営からはティックフォード・レーシング所属のコートニーと、ブランシャード・レーシングからティム・スレイドが参加。GM(ゼネラルモータース)傘下、シボレー・ブランドにその歴史を引き継ぐホールデン陣営からは、ファクトリーチームであるトリプルエイト・レースエンジニアリングの新王者“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギズバーゲンと、同じくその僚友として今季よりレッドブル・アンポル・レーシング加入の新鋭、ブロック・フィーニーが姿を見せた。

 火曜日のクイーンズランド・レースウェイは37度の最高気温を記録する猛暑日のコンディションとなるなか、ドライバーは空力パッケージに関するデータ取得に集中。その後、各コンポーネントの信頼性とパフォーマンス評価に移行する前に、今季より実戦投入を計画するスーパーソフトのテストをこなした。

 シリーズの技術部門責任者を務めるエイドリアン・バージェスは、前回の2022年初テストから実装されたサスペンションを中心に、オイルタンクやアンチロールバーといったメカニカル・コンポーネントのアップデートに加え、今回もあくまで「信頼性確認と距離を稼ぐことが主眼」としつつ、徐々にパフォーマンスの観点にも目を移すことになると説明した。

「もちろん問題の修正と解決についてがメインだが、現状ブレーキパッケージについては、やるべきことが少し残っている。それほど遠くない将来にブレーキパッケージについては決断を下す必要があるだろうし、エンジン補助システムについても検証が必要だ」と語ったバージェス。

「新しいアンチロールバーシステムはうまく機能していて、クルマは以前よりもバランスが取れているように感じるが、我々はまだセットアップを調整する世界に足を踏み入れていない」

「どちらのクルマも基本的なセットアップに固定し、発生する小さな問題を修正し、クルマのマイルを稼ぐことに焦点を当てているんだ。現時点ではラップタイムを追いかけていないし、我々はエンジンも、エアロも、メカニカルな部分もつねに更新を続けている。そのバランスを確認することが最優先事項だ」

37度の最高気温を記録する猛暑日のコンディションとなるなか、前回同様クイーンズランド・レースウェイで2日間のプログラムをこなした
ファクトリーチームであるトリプルエイト・レースエンジニアリングからは、Gen3のデモランも担当した新王者“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギズバーゲンが参加

■Gen3マシンは「運転するのが難しいけれど、とにかく楽しい」とコートニー

 このGen3規定は現行のGen2モデルと比較して大幅なダウンフォースの削減を特徴としているが、今回スレイドとフォード・マスタングをシェアした2005年シリーズデビューのコートニーは、ローダウンフォース化したマシンが「ベテランドライバーをサポートすると信じている」とのインプレッションを明かした。

「これまでのクルマとは大きく異なるね。グリップレベルは2008年と非常によく似ているし、これは僕のようなドライバーや(マーク・)ウインターボトム、(ウィル・)デイビソン、そしてシェーン(-ヴァン・ギズバーゲン)に適しているだろうね」と語った2003年全日本F3選手権王者のコートニー。

「若い奴らは、こうしたクルマで“ダウンフォースがない状態”を知らない。それは良いことだ(笑)。今日、もう少し走ることができるのは素晴らしいことだね」

 2008年にここクイーンズランドで初優勝を飾ったコートニーは、テクニカルかつハイスピードなこのトラックにおいて、Gen3規定の「顕著な違いを感じた」と言い、ターン5ではスピンを喫する場面もあった。

「エアロバランスにより、グリップレベルは大幅に低下する。ここイプスウィッチのターン1とターン2は非常にハイスピードなコーナーだけど、以前よりマシンがはるかに動き回り、大暴れするんだ」と続けたコートニー。

「リヤがとにかくルーズで、現行規定モデルのようにフロント側のアンダーステアを使ってドライブするのは難しい。さらにリヤのダウンフォースがなければブレーキングでも不安定になり、暴れると同時にロックする率も高まる」

「こうして何か違うものをドライブするのは本当に楽しいし、このカテゴリーでは僕の時代を通してクルマが大きく変わった。このクルマは運転するのが難しいけれど、とにかく楽しいよ!」

 また、2022年の実戦に向け「60km前後のマイレージでドロップダウンが始まる」ことを狙ったスーパーソフトタイヤの新コンパウンドは、各車ともに狙いどおりの性能を発揮し「非常に満足する」結果が得られたという。

 RSCに供給されるダンロップタイヤの開発を率いるケビン・フィッツサイモンズは、新タイヤが示した初期の兆候に対し「とてもうまくいったと思う」との評価を下している。

「タイヤの性能はスーパーカーの技術部門が求めていたものに合致した。1周3km程度のここ(クイーンズランド・レースウェイ)で18〜20周した後、ドロップオフしていったんだ。序盤は標準のソフトタイヤよりもラップあたり約1秒速かったし、それは基本的に私たちが求めていたものだ。とてもハッピーな結果だね」

ワンメイクタイヤ供給を担うダンロップが新開発した“スーパーソフトタイヤ”もテストされた
フォーミュラ・ニッポンやスーパーGT経験者でもあるジェームス・コートニー。2022年もフォード陣営から参戦する

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