パの新人王は今年もルーキーにあらず? 鷹助っ人、西武右腕ら2年目以降の“有力候補”

ソフトバンクのカーター・スチュワート・ジュニア【写真:福谷佑介】

西武・水上は昨年、パ・リーグ新人記録のデビューから14試合連続無失点

昨年パ・リーグの新人王に輝いたのは高卒2年目のオリックス・宮城大弥投手。3試合登板で1勝1敗、防御率3.94に終わった1年目を経て、昨年は13勝4敗、防御率2.51とブレークした。新人王というと、ルーキーイヤーの選手というイメージがあるが、受賞者をさかのぼると過去5年間のパの新人王で1年目に受賞したのは西武・源田壮亮内野手の2017年のみ。そこで今回は“ポスト・宮城”となり得る「パ・リーグの2年目以降の新人王有資格選手」を特集する。

新人王の資格は、海外のプロ野球リーグへの参加経験がない(全選手)、初めて支配下選手登録されてから5年以内(全選手)、前年までの1軍公式戦での打席が60打席以内(野手)、前年までの1軍公式戦での投球回が30イニング以内(投手)となっている。パの新人王は2018年から大卒2年目の楽天・田中和基外野手、大卒2年目のソフトバンク・高橋礼投手、高卒3年目の西武・平良海馬投手、そして昨年の宮城と続いている。

○西武 水上由伸投手(通算成績:29試合、27回0勝1敗、22奪三振、防御率2.33)

四国学院大から2020年育成ドラフト5位で入団。昨季は5月に支配下登録されて6月に1軍デビュー、パ・リーグ新人記録となる初登板から14試合連続無失点を樹立するなど29試合に登板した。パでは育成入団で新人王を受賞した選手は過去にいない。「育成出身の星」として輝けるか。西武の野手では、2020年ドラフト1位の渡部健人内野手が昨季2軍で19本塁打を放ち、イースタン・リーグの本塁打王になった。こちらも飛躍が期待される。

○日本ハム 今川優馬外野手(通算成績:13試合、28打数2安打1本塁打、打率.071)

北海道出身で社会人のJFE東日本から2021年ドラフト6位で入団。昨年は4月に1軍での出場機会を得るも、11打数0安打と苦しんだ。ファームでは61試合で14本塁打46打点、打率.310の結果を残した。シーズン終盤には再び1軍からお呼びがかかり、昇格後の初打席でプロ初安打を本塁打で飾った。今季は新庄剛志新監督の就任を追い風として、一気に駆け上がりたい。

楽天・藤井聖【写真:荒川祐史】

ソフトバンクのスチュワートは昨季未勝利も奪三振率は13.69だった

○ソフトバンク C・スチュワート・ジュニア投手(通算成績:11試合、23回2/3、0勝2敗、36奪三振、防御率6.08)

2018年にMLBのブレーブスからドラフト1巡目指名されるも、入団を拒否。2019年にソフトバンクに入団した右腕は来日3年目の昨年4月に1軍デビュー。プロ初先発となった8月15日の日本ハム戦では白星こそつかなかったが5回無安打9奪三振無失点と好投した。白星は得られなかったが、奪三振率は驚異の“13.69”。まだ荒削りだが、磨きをかけて次世代の鷹のエースとなるか。

○楽天 藤井聖投手(通算成績:1軍登板機会なし、2軍=17試合、81回、4勝3敗、66奪三振、防御率3.56)

東洋大、ENEOSを経て2020年ドラフト3位で入団。東洋大時代はソフトバンクの甲斐野央投手らと切磋琢磨し、国際試合も経験するなど経験値は高い。1軍経験はないが、8月7日の日本ハム戦で完封勝利を飾るなど、昨季はファームで4勝を挙げた。

○ロッテ 小川龍成内野手(通算成績:20試合、6打数0安打、打率.000)

前橋育英高、国学院大を経て2020年ドラフト3位で入団した、華麗な守備が魅力の24歳。昨季はフレッシュオールスターゲームで優秀選手賞に輝いたが、打撃面では課題も残した。守備固めでの出場がメインだった1軍では無安打、2軍でも1割台(.181)だった。打撃をレベルアップさせて出場機会をつくれば、飛躍の機会は舞い込んでくるだろう。

○オリックス 元謙太外野手(通算成績:1軍出場機会、2軍=111試合、334打数46安打4本塁打、打率.138)

岐阜・中京高から2020年ドラフト2位で入団。パンチ力が魅力で、昨年はチームで唯一人2軍で全試合に出場するなど、首脳陣からの期待も高い。外野手登録だが主に三遊間をこなすなど、ユーティリティな一面も見せる。宗佑磨や紅林弘太郎らとの争いの中で、さらなる成長が期待される。(「パ・リーグ インサイト」小野寺穂高)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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