【新型コロナ】イベント消え、協力金なく、大手参入で競争激化… 神奈川のキッチンカー「三重苦」

茅ケ崎から小田原に出張販売に駆けつけたキッチンカー=小田原市役所前

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、神奈川県内のキッチンカー事業者が苦境に立っている。1月からの「まん延防止等重点措置」もあってドル箱だった地域のイベントが軒並み消える一方で、時短営業に伴う県の協力金は対象外。さらにはコロナ後を見据えた新規参入も増え、生き残り競争が激化する「三重苦」の状態に陥り、事業者らは「大手まで参入し、出店場所も奪われた中小事業者はさらに苦しくなる」とため息を漏らす。

 1日正午、小田原市役所前に並んだキッチンカーに昼休み中の市職員が列をつくった。

 市が苦境の事業者を支援しようと、昨秋から週1日、庁舎前に出店スペースを提供。この日は、交流事業として同様の取り組みをする藤沢、茅ケ崎市からも新規開拓を目指すキッチンカーが集まり、“出張販売”をスタートさせた。

 大規模イベントなどの稼ぎ場所を求めて首都圏全域まで足を延ばすキッチンカー。ただ一時は回復傾向にあったイベントも「オミクロン株」のまん延で再び縮小傾向に逆戻りした。

 湘南エリアの事業者でつくる湘南フードトラック協会の加世田剛理事は「1日100万円も見込めたイベントがなくなるのは痛い。平日の売り上げはせいぜい5万円」と頭を抱える。売り上げはコロナ禍以前と比べて半減。茅ケ崎を拠点にするキッチンカー「北欧酒場Shima=Tori」の島崎良太さん(48)も「酒類を提供できるイベントもなくなり厳しい状況」と窮状を訴えた。

 県は「まん延防止」の適用を受けて飲食店に対して午後8時までの時短営業を要請し、1日最大10万円の協力金を支給している。だが、キッチンカーは「テークアウト事業者には時短営業を要請していないため」(県担当者)と対象外だ。

 小田原北条キッチンカー組合の塚田健仁組合長は「同じ飲食店営業の許可を得ているのに、なぜ平等に扱ってくれないのか」と不満を口にする。

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