節分の縁起物「紅大根」収穫ピーク 長崎の伝統野菜「日常で使う食材に」

収穫された紅大根=長崎市木場町

 節分に食べると縁起が良いとされる長崎市の伝統野菜「紅大根(あかだいこん)」が収穫のピークを迎えた。1月30日、長崎伝統野菜育成保存会の中尾順光会長(78)=同市木場町=が自宅近くの畑で約120本を収穫。仲卸業者を通じ市内のスーパーに卸した。
 紅大根はカブの一種で、形が赤鬼の腕に似ているとして食べると邪気を払うとされ、酢の物にすることが多い。中尾会長によると、300年ほど前に海外から伝来したとみられる。9月上旬に種をまき、節分に合わせて翌年1月下旬から2月に収穫する。
 中尾会長は伝統野菜の継承のため50代後半ごろから栽培を始め、現在市内の6世帯ほどが栽培、保存に取り組んでいる。花粉が混じり交雑しないように、他の作物の畑とは100メートル以上離して栽培。節分終了後は次年度のため種を残す作業をする。
 市は生産者や市教委などと連携し市立小中の学校給食のメニューに伝統野菜を取り入れている。中尾会長が市内のレストランやホテルから食材として注文を受けることもあるという。
 中尾会長は「県内全体で伝統野菜保存に取り組み、年中行事のときだけでなく日常でも使う食材になっていけば」と話した。

紅大根の断面

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