3回目ワクチン接種で「モデルナ」敬遠? 長崎県、進展の滞り警戒

米モデルナ製ワクチンの瓶

 新型コロナウイルスワクチンの3回目接種で米モデルナ製が敬遠されるとの懸念が取り沙汰されている。長崎新聞社が県内21市町に行った取材では、西彼長与町が実施したアンケートで米ファイザー製を希望する人が多い結果が出ていた。ただ、県内で実際に希望の偏りが顕在化するかは現時点で不透明。影響が深刻だと接種進展が滞る恐れがあるとして、県は警戒を強めている。
 国内の1、2回目接種でファイザーを打った人は約8割に上る一方、3回目は4月までモデルナの供給が全体の6割弱を占めることが背景。前回と同じワクチンの希望や副反応の懸念から、モデルナが敬遠される恐れがある。政府は交互接種の安全性やモデルナの効果をPRしている。
 長与町のアンケートは昨年12月9日~今年1月3日、ホームページで実施し1287人が回答。これによると1、2回目にファイザーを接種したうちの62.1%(654人)、モデルナだった人の13%(21人)は3回目にファイザーを希望。一方、モデルナ接種者の56.2%(91人)は「どちらでもよい」だった。

米ファイザー製ワクチンの瓶

 長崎市や佐世保市ではモデルナを使う集団接種の予約が低調という。ただ「接種対象が85歳以上で集団より医療機関での個別接種への予約が多い」(長崎市)事情や、現状の感染拡大が影響している可能性もある。しかし、県医療政策課は「今後接種が進めば『ファイザーはないがモデルナならすぐ打てる』状況が想定され、その際にモデルナを敬遠されると接種進展のスピードが鈍る」と先行きに危機感を抱く。
 同課の安藤隆雄医療監(医師)は「米国のデータではオミクロン株の感染予防効果、入院(重症)予防効果とも、3回目を打つと大きく上昇する。モデルナの方がファイザーより少し効果が高いとのデータもあり、モデルナを避けないでほしい」と訴える。


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