「一人で悩まず行政相談を」 スマホサイト開設1年 長崎行政相談委員協議会長 木村さん

「困ったら一人で悩まず行政相談を」とスマホサイトの利用を呼び掛ける木村さん=南島原市有家町

 「困ったら一人で悩まず相談を」-。長崎県南島原市有家町の行政相談委員で、長崎行政相談委員協議会長の木村優仁さん(70)が、スマートフォン用サイト「くらしの総合相談所」の利用を呼び掛けている。新型コロナ禍で相談者と対面できない状況を踏まえ、昨年4月に独自に開設した。
 行政相談委員は、総務大臣が委嘱する民間人で行政と市民の“橋渡し役”。行政に関する苦情や相談などを受け付け、助言や関係機関への通知などの仕事を無報酬でしている。現在、県内で97人、全国で約5千人が活動している。
 木村さんは2001年、行政相談委員になり、同会長や九州行政相談委員連合協議会副会長を務める。これまで計2020件に対応した。高校での「出前教室」にも力を入れ、17年には地元の県立島原翔南高の生徒から寄せられた「南島原市西有家町龍石地区の防波堤の一部が崩れているので直してほしい」との相談に対応。市に掛け合い、護岸工事につなげた。
 相談内容は▽行政に対する要望・意見・苦情▽就職・労働・退職・年金▽生活支援▽福祉・衛生・医療▽ネット・通販トラブル-など多岐にわたる。しかし、コロナ禍で対面相談の機会が減少。昨年4月「非接触型のツールに」とスマホサイトを開設した。
 木村さんによると、コロナ禍で相談者の「死生観」に変化が生じているのか、相続や遺言書の書き方などの相談が増えたという。南島原市のみならず、島原半島や県内全域からの問い合わせにも応じ、「こういうご時世だからこそ、スマホ相談を浸透させたい。『どこに相談してよいか分からない』などお困りの方は無料なので気軽に相談してほしい」と話す。
 木村さん(電0957.82.5923)。


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