新成人にアンケート「私の“公約”は…」 長崎県知事選を身近に 若者の多彩な地域振興策

県内新成人アンケートの主な意見

 長崎新聞社は10日の成人の日に合わせ、県内の成人式会場などで新成人50人にアンケートを実施した。来月20日投票の知事選を身近に感じてもらおうと、「もしあなたが候補者なら、どんな公約を掲げますか」と質問。感染が急拡大している新型コロナウイルス対策のほか、交通網の改善や企業誘致、子育て支援など、若者定着に向けた多彩な地域振興策が寄せられた。
 約2年続く「コロナ禍」は、いまだ収束が見通せない。諫早市の木下直人さんは「コロナで影響を受けている人の支援」を掲げた。感染拡大でアルバイトが制限され、「金銭的に苦しい状況」という自身の経験から思い付いた。北松佐々町出身の古賀愛梨さんは、医療体制の逼迫(ひっぱく)を改善するため「感染者を受け入れる病院の増」を提案した。
 地域振興策の中には具体的な施策を打ち出した人もいた。西彼時津町の尾道葵音さんは交通渋滞対策として「時津まで路面電車を延伸」。交流人口を増やすため、南島原市出身の田原千裕さんは「島原半島と天草諸島の架橋」など交通網の充実を示した。松浦市の大塚彩香さんは「中高生の公共交通機関の無償化」により子育て世帯を支援し、少子化に歯止めがかかるよう期待を寄せた。
 「信頼できる政治」を目指すのは、東彼東彼杵町の上田敬幸さん。公文書改ざんなどの問題で今の政治に信頼感がないと指摘し、「信頼を取り戻すことを優先するべきだと思った」。大村市出身の荒木萌花さんは、知事が会員制交流サイト(SNS)を活用して県民の意見を聞くことの重要性を訴える。「今の知事はあまり身近に感じられないので」と理由を説明した。
 知事選の投票に行くかも尋ねた。県内在住者34人のうち、35%に当たる12人は「行く」と答え、「行かない」が1人。その他は「決めていない」「分からない」とした。
 コロナ禍によって、将来の夢や目標が変わったかどうか質問すると、若者たちの心の葛藤が垣間見えた。
 東彼波佐見町出身の溝上大賀さんは「自宅で自分と向き合う時間が増えた」。目指しているものはあるが「生きていればいいかな」と胸の内を明かす。北松小値賀町の永田宏紀さんは「子どものころ自衛隊に入りたかったが、救急救命士に進路変更した」。海外に行く予定だったという長崎市の田端里桜さんは、国内で就職することにした。「いい方向に変わったと捉えている」と前を向く。
 長崎市役所に建築職で入った久原涼輔さんは、2級建築士の資格取得を目指して勉強中。在宅時間が長くなったことで「何となく今後のために」だった動機を見詰め直した。今は「『自分はこうなりたい』と明確に思えるようになった」と変化を実感している。


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