【緊急避妊薬のOTC化】市民団体が厚労大臣に要望書提出/「検討を早急に」進めること求める

【2022.02.04配信】緊急避妊薬のOTC化を求めている市民団体「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」は2月4日、後藤茂之厚生労働大臣宛に要望書を提出した。島村大厚生労働大臣政務官が代理で受け取った。要望書では「緊急避妊薬のOTC化の検討・課題整理を早急に進めること」などを求めている。

染矢共同代表「次回の審議時期などが公開されていない」

同団体は2020年7月にも、緊急避妊薬のスイッチOTC化に関する審議を早急に再開することなどを求める要望書を厚労大臣宛てに提出していた。その後、2021年5月に厚労省の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」にOTC化の要望を行い、2021年10月に1度目の審議が行われていた。

今回の要望書では、2021年10月の検討会議実施を受け、2022年2月ごろに2回目の審議が行われる予定とされていたことから、その速やかな実施と、2回目の審議以降に最終的なOTC化の可否を決定する「薬事・食品衛生審議会薬事分科会要指導・一般用医薬品部会」までの速やかな開催を求めたもの。

市民団体共同代表の染矢明日香氏( NPOピルコン理事長)は、提出後に行われた記者会見で、「2021年10月に厚労省の検討会議で緊急避妊薬のOTC化に関する議論の再開後、2022年2月ごろに2回目の審議が行われる予定と聞いていたが、調整中ということでいつごろになるかも公開されていない」と話した。
パブリックコメントが実施される可能性はあるが、そのパブリックコメント実施の時期に関しても「見通しが立っていないような状況が続いている」と話した。

島村厚生労働大臣政務官「年度内に2回目の審議予定」

要望書を受け取った島村大厚生労働大臣政務官からは、今年度中に2回目の審議を行う方向で調整しているとのコメントがあったという。
島村厚生労働大臣政務官のコメントとして次の内容が説明された。
<島村厚生労働大臣政務官のコメント>
「緊急避妊薬の安全性の議論はかなり進んできたという認識ですが、避妊に関する教育も含めOTC化は社会全体で考えていかなければいけない問題です。今後のスイッチOTC化検討の議論は年度内に2回目の実施に向けて早急に準備しています。その後の検討については未定ですが、パブリックコメントは実施する方針で検討を進めています。今後のスケジュールも含め情報公開を行っていきます」

要望書の内容は以下の通り。
1. 緊急避妊薬のOTC化の検討・課題整理を早急に進めること
2.緊急避妊薬のOTC化の検討にあたり、市民・当事者の声を反映し、服用する当事者の負担にならない条件や対応を考慮すること
3.緊急避妊薬のOTC化の、WHO等国際機関の勧告を踏まえ、科学的根拠に基づいた緊急避妊薬の提供について検討すること

遠見共同代表「服用当事者の負担軽減を」

要望書の中の「服用する当事者の負担にならない条件や対応を考慮すること」に関連して、共同代表の遠見才希子氏(産婦人科医)は会見で、現在認められている緊急避妊薬のオンライン診療においても「避妊成否の確認のため約3週間後の産婦人科医での対面受診を確実に約束」や「転売などの組織的な犯罪に使用されるのを防ぐため薬剤師の面前で内服」などの要件が記載されていることを紹介し、それらに関しても、例えば「避妊法の相談や性感染症の検査、子宮頸がん検診などのため産婦人科対面受診を推奨する」や「セックスから早く飲むほど効果が高いため、希望者には薬局で服用できるようにサポートする」などの表現に変更することを提案した。服用当事者の負担を軽減する方向を求めたもの。
同様のルールはOTC化においても議論に挙がっている。

共同代表の福田和子氏(なんでないのプロジェクト代表)は会見で、これまで行ってきたオンライン調査では「緊急避妊薬のアクセスに関して切実な思いが寄せられている」と紹介し、「緊急避妊薬を薬局で売ってほしいという日本の女性たちの期待が裏切られることがないことを願っています」と話した。

緊急避妊薬は、妊娠可能性のある性行為からできる限り早く、72時間以内に服用することで高い確率で妊娠を防ぐことができる薬。現在、緊急避妊薬の入手には医師の処方箋・診療が必要だが、さまざまな事情から医療機関を受診できない、または遅れてしまうことがあることや、コロナ禍において若年層の予期せぬ妊娠の相談が急増したこと等を背景に、スイッチOTC化に向けての注目が高まっている。

市民団体が実施しているオンライン署名キャンペーンには、すでに14万筆以上の賛同が寄せられている。

■詳細記事
https://note.com/dorabiz_fp/n/n05bb74fde54c

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