野球塾とは違う「アスリートクラブ」とは? 強豪ボーイズが設立した理由と描く未来

京葉ボーイズ・関口勝己監督【写真:荒川祐史】

野球界の発展のため…社会人野球も経験した関口勝己監督らが中心

全国V経験のある千葉・京葉ボーイズが今春、小学生対象のアスリートクラブを立ち上げることになった。NTT関東(現・NTT東日本)でプレーし、2009年からチームの中学生を指導する関口勝己監督が主体となっている。野球塾をすでに立ち上げてはいるが、今の子どもたちの「遊び」の環境に危機感を感じているからだった。

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京葉ボーイズではこの春に小学生を対象とした「東都クラブ遊人倶楽部」を立ち上げます。すでに小学生の野球塾はありますが、今回は成長段階に応じた科学的指導の下、野球を中心に様々なスポーツにチャレンジするジュニア向けのアスリートクラブとなります。入部条件は「野球(スポーツ)がやりたい」ということだけ。男女の別なく、レベルは問いません。初心者大歓迎です。

野球以外のスポーツを取り入れたのは、昭和の子どもがそうであったように、遊びながら運動能力を開発していきたいという思いと、アメリカなど海外の国々がそうであるように、少年期に野球以外の様々なスポーツにも複合的に取り組むことで巧緻性を身に付けてほしいという考えからです。

野球に関しても軟式球を使用し、中学、高校と上の段階に進んでもプレーを続けられるよう、ゴールデンエイジといわれる小学校高学年のうちに正しい体の使い方、動かし方を覚え基礎を固めることに主眼を置きます。中学生になって京葉ボーイズの硬式チームに進んでもらえば、小中一貫の画期的な育成システムになると思っています。

小学生のチームを作ったのは、保護者にお願いされたことがきっかけです。自分の子どもを安心して預けられるチームがないので、京葉ボーイズで小学生のチームを作ってくれないかというのです。その保護者の方の一番の心配は、オーバーワークによる怪我ということでした。

体ができていないうちに重いバットを振りすぎると腰に影響が出る

確かにここ数年、中学生のチームに入部してくる子の中に肘が痛い、肩が痛いという子が目立ちます。中には小学生で腰椎分離症になったという子もいます。腰椎分離は体ができてないうちから重いバットを振りすぎたのが原因でしょう。子どもに合ったバットの選び方を教えないのも、ひたすら数だけスイングさせる指導にも問題があります。

今の子どもは外遊びで体を動かす機会がとても少ない。スマホやテレビゲームをしてじっとしていることが多いので体が固くなり、運動すると余計な負担がかかってしまう。昔の子どもは外遊びで駆け回っていたんで体幹が鍛えられたし、体の使い方、動かし方も自然と覚えた。でも今の子は体幹の鍛え方とか、股関節の動きとかを教えてあげないと、体の使い方、動かし方がわからない。そんな子どもに昔ながらの数だけこなす練習を課したら、体を壊してしまうのは当然でしょう。

体の使い方、動かし方を覚えた上で、投げる、捕る、打つという野球の正しい基本動作のトレーニングを小学校のうちからやっておけば、壊れない強い体ができる。怪我が原因で野球を辞めたり、嫌いになったりっていうのはとても残念なことですからね。近年、野球人口の減少が問題になっていますが、どうやって増やすか考えることも大事ですが、途中で辞めてしまう子を減らすことも真剣に考えていかなければならない。京葉ボーイズがジュニア向けのアスリートクラブを立ち上げるのは、野球界の発展のためでもあるのです。

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