佐渡汽船 みちのりHD傘下へ 支援受け経営再建 小木―直江津Jフォイルで当面維持

 佐渡汽船(本社・佐渡市)は7日、主に東北地方の公共交通企業などを傘下に置く「みちのりホールディングス」(HD、本社・東京都)の出資を受け、子会社として経営再建を図ることを発表した。小木―直江津航路については、ジェットフォイルでの運航を当面維持する。

記者会見に臨む尾﨑社長(左)と松本CEO(7日、佐渡汽船新潟事務所)

 佐渡汽船は21日発表予定の2021年12月期決算で債務超過額が30億円程度に達するとみられており、みちのりHDの支援により、経営再建に乗り出す。

 佐渡汽船の尾﨑弘明社長とみちのりHDの松本順グループ最高経営責任者(CEO)が同日、新潟市中央区の佐渡汽船新潟事務所で共同記者会見し明らかにした。みちのりHDは3月25日に開かれる佐渡汽船の定時株主総会で、みちのりHDを割当先とする株式発行、新株予約権発行に関する議案が成立すれば、同31日に佐渡汽船に対し、第三者割当増資で15億円を出資する。みちのりHDは出資により、佐渡汽船の議決権の66・69%を取得。同社を子会社化する方針。県と佐渡市、第四北越銀行、JA佐渡は株式保有を続ける。

 経営責任を明確化するため、尾﨑社長は第三者割当増資の実行後に辞任する。佐渡汽船は5月6日、東証への上場を廃止する予定。同社はみちのりHDから過半数の取締役を迎える方針だ。

 主要取引行の第四北越銀行(本店・新潟市)も支援に乗り出す。みちのりHDの出資完了などを前提に15億円の債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ)を行う。

 佐渡汽船は20年12月期の決算で債務超過に陥り、小木―直江津間で運航していた高速カーフェリー「あかね」の売却や貨物運賃の引き上げなどを行ってきたが、コロナ禍で追い打ちを受け、21年12月期の中間決算で約22億円の債務超過が解消できないでいた。

◇上越市 支援方針変えず 新体制前向きに捉え

 上越市は、今後佐渡汽船の経営体制が変更されても、引き続き「小木―直江津航路存続」を前提に支援する方針を明らかにした。

 佐渡汽船への支援をめぐっては、昨年の市議会9月定例会でコロナ禍で減少した運賃収入相当額約2億4000万円を支援する補正予算が可決されたものの、同日時点で実行に至っておらず、時期も未定だ。市は「経営体制が変わることをプラスに受け止め、支援を行う」として、方針に変わりがないことを明らかにした。

 市は9日開かれる市議会文教経済常任委員会で、あらためて支援の姿勢を明確にすることにしている。

◇中川市長ら3者連名でコメント

 佐渡汽船とみちのりHDの発表を受け、花角英世知事と佐渡市の渡辺竜五市長、上越市の中川幹太市長は連名でコメントを発表。「みちのりHDが培ったノウハウを佐渡航路に展開することで、地域全体の活性化に期待」するとした上で、3自治体とも「みちのりHD、佐渡汽船と連携し『佐渡島の金山』の世界遺産登録を契機としたさらなる観光誘客、佐渡航路の維持確保・活性化に取り組んでいきたい」とした。

 また、今後みちのりHDと県、佐渡市、上越市、佐渡汽船で航路維持や活性化に向けた協定を結ぶ方針も明らかにした。

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