東名あおり差し戻し審 次女「つらい目に遭ってほしい」

横浜地裁

 神奈川県大井町の東名高速道路で2017年、「あおり運転」を受け停止させられたワゴン車に後続車が追突し一家4人が死傷した事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた被告の無職男(30)の差し戻し裁判員裁判の第6回公判が7日、横浜地裁(青沼潔裁判長)であった。

 亡くなった男性=当時(45)=夫婦の次女(16)と、追突した後続トラック運転手が初めて証人として出廷。次女は「できるだけつらい目に遭ってほしい」と涙ながらに被告への思いを述べ、事故当時の状況を証言した。

 次女の証言によると、高速道路上に被告の車と一家の車が停車後、降車した被告は車のドアを開けた男性に「けんか売ってんのか」「道路に投げる」などと言い、男性は「けんか売ってないです」と謝罪した。

 次女に被告の手元はよく見えなかったというが、男性を「つかんで押したり引いたりし、父(の体)は前後に揺れていた」という。

 母=当時(39)=もその際に男性の体をつかんだが、その後、2人がいつ車から道路上に出たかは分からないという。

 両親の死亡を聞いた時は「信じられなかった」。今の思いを「学校行事で友達は保護者が来ているのに自分だけ来ていない時、さみしい」と吐露。検察側から被告へ言いたいことを問われ、「事故前の状態に父と母を戻してくれるなら許せるけど、それは無理。反省してほしいけどできないと思う」と述べた。

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