「核兵器の依存 減らす努力を」 市民講座最終回 河合氏ら講演

「核兵器禁止条約の今後」をテーマに、オンラインで講演した(左から)広瀬氏と河合氏

 被爆者団体や非政府組織(NGO)でつくる「核兵器廃絶日本NGO連絡会」幹事の河合公明氏は5日、オンラインで講演。核兵器禁止条約発効を契機に、米国の「核の傘」に頼る日本政府は「核兵器への依存を減らす努力を考えていく必要がある」と提言した。
 河合氏は、日本国内の世論として、核兵器禁止条約の署名・批准を求める声がある一方、「核の傘」に依存する安全保障政策を支持する声も同程度あると説明。「自らの依存を減らすための行動は何か、どう努力するかが政府に問うべき論点となる」との考えを示した。
 さらに、米国の拡大核抑止に依存しつつも、日本では核兵器の使用可能性については議論されていないと指摘。安全保障について、核兵器に代替可能な政策的選択肢に関する議論が必要と主張する。その上で、核兵器禁止条約の第1回締約国会議にオブザーバー参加することは「選択肢について意見を交わすことができ、有益だ」と述べた。
 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)の広瀬訓副センター長も講演。核兵器禁止条約に基づく「核兵器の被害者」支援の実現に向け、当事者意識を持つことの重要性を訴えた。
 講演は県と長崎市、長崎大でつくる「核兵器廃絶長崎連絡協議会」が主催する本年度の市民講座(全5回)の一環。今回が最終回で「核兵器禁止条約の今後」をテーマとした。新型コロナウイルス感染拡大の影響でオンライン開催となった。


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