新型コロナ関連の経営破たんは負債1,000万円未満も含め、累計2,742件(2月8日11時時点)

累計2,883件
負債1,000万円以上 2,742件
負債1,000万円未満  141件

  •                  ※企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
  •                  ※原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の
  •                    言質が取れたものなどを集計している。
  •                  ※東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。

~ 1月は113件、5カ月ぶりに前月を下回るも12カ月連続の100件超え ~
 2月8日は11時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が6件判明、全国で累計2,742件(倒産2,616件、弁護士一任・準備中126件)となった。
 2021年は2月以降、100件超えが続き、とりわけ9月以降は4カ月連続で最多を更新し12月は過去最多の174件を記録した。2021年の年間件数は1,718件に達し、2020年の843件に比べて2倍に増加した。2022年1月は113件と、5カ月ぶりに前月を下回ったが、12カ月連続となる100件超えとなった。2月も8日時点で68件が判明している。
 倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計141件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で2,883件となった。
 新型コロナ感染拡大の第6波が広がり、「まん延防止等重点措置」の適用地域は全国35都道府県に広がっているが、一部地域では期間の延長が検討されている。営業機会が減少する飲食業をはじめ、外出自粛やイベントの取りやめなども予想され、関連業種では厳しい事業環境が続く。
 政策支援、金融機関によるリスケ対応などは継続する見通しだが、業績不振が長期化で、過剰債務に陥った企業も目立っている。息切れやあきらめによる脱落を中心に、コロナ破たんは当面、高水準で推移する可能性が高まっている。

コロナ破たん1

【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 100件以上は6都府県 ~

 都道府県別では、東京都が593件(倒産574件、準備中19件)に達し、全体の2割強(構成比21.6%)を占め、突出している。以下、大阪府288件(倒産273件、準備中15件)、福岡県134件(倒産124件、準備中10件)、神奈川県128件(倒産123件、準備中5件)、愛知県126件(倒産126件)、兵庫県122件(倒産118件、準備中4件)、北海道96件(倒産94件、準備中2件)と続く。
 8日は青森県や富山県、石川県、兵庫県、山口県、徳島県で各1件判明した。10件未満は2県、10件以上20件未満が11県、20件以上50件未満が20府県、50件以上100件未満が8道県、100件以上は6都府県に広がっている。

コロナ破たん2

【業種別】(負債1,000万円以上)

~飲食が最多の468件、建設、アパレル、食品卸、宿泊が続く ~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多で468件に及ぶ。「まん延防止等重点措置」適用地域では営業制限がはじまり、経営体力の消耗やあきらめによる飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性も強まっている。
 次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が284件、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の215件。このほか、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が122件。インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が110件と、上位を占めている。

コロナ破たん3

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した2,700件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の1,026件(構成比38.0%)、次いで1億円以上5億円未満が876件(同32.4%)、5千万円以上1億円未満が497件(同18.4%)、5億円以上10億円未満が155件(同5.7%)、10億円以上が146件(同5.4%)の順。
 負債1億円未満が1,523件(同56.4%)と半数以上を占める。一方、100億円以上の大型破たんも6件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した2,616件の形態別では、破産が2,324件(構成比88.8%)で最多。次いで民事再生法が120件(同4.5%)、取引停止処分が111件(同4.2%)、特別清算が49件、内整理が11件、会社更生法が1件と続く。
 「新型コロナ」関連倒産の9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
 先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した2,601件の従業員数の合計は2万6,458人にのぼった。
 2,601件の内訳では従業員5人未満が1,483件(構成比57.0%)と、半数以上を占めた。次いで、5人以上10人未満が514件(同19.7%)、10人以上20人未満が315件(同12.1%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
 また、従業員50人以上の破たんは2021年上半期(1-6月)で17件、下半期(7-12月)で15件。2022年は5件発生している。

コロナ破たん4

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