枯渇するAI人材、2030年には12万人以上不足…誰もがAIを学ぶ時代に

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「フラトピ!」のコーナーでは、デジタル社会に必要不可欠な“AI人材”について解説しました。

◆政府も多額な予算を計上…圧倒的に足りないAI人材

今回、「AI人材」について解説するのは、"AI先生”ことNewsPicksのプロピッカー・野口竜司さん。

AI人材とは、大きく分けて「AIをつくる人材」と、つくったAIを社会に実装していく「AIを使いこなす人材」の2種があり、いずれも人員不足。2030年には、12.4万人も足りないと言われているとか。

そのため、政府も人材育成に3年間で4,000億円もの資金を用意しており、「それぐらいAI人材が不足し、必要とされていることがわかる」と野口さん。

では、なぜ日本でこれほどAI人材が不足しているのか。その理由は、ディープラーニングという技術革新が巻き起こるなか、リードしていたのは欧米諸国で、後発研究が活発化したのも中国だったから。世界各国でAI技術が進化し、日本はまだまだ頑張らなくてはいけない状況だそうで、野口さんは「(現在、日本は)産官学通じて頑張っているので(状況は)変わっていくのではないか」と期待を寄せます。

◆いまやビジネスにAIは必須「みんながAIを学ぶ時代」

企業においてはAI人材育成の取り組みが既に始まっており、その1つがZホールディングスの「Z AIアカデミア」。

これは文理両軸で学べることがポイントで、「AIは理系のものと思われがちだが、いかに使いこなすか、社会に実装していくかで言うと、文系こそ今AIを学ぶべきだということで、このような体制になっている」と野口さん。さらには「消費者理解や世の中の流れ、倫理的なところも含め、いかにAIを適切に使っていくかが重要」と言い、「みんながAIを学ぶべき時代」と声を大にします。

また、インターネットサービスやゲームを開発しているエイチームでは、全社員にAIの基礎研修を実施し、基礎以上のことは任意で学べる二層構造的な仕組みを採用。これには野口さんも「経営者がしっかりジャッジされたと思う」と高く評価します。

エイチームでは全社一斉AIテストも行われ「AIを理解しているのかチェックできるような取り組みまで行っているのも注目すべき点」と称賛。

ここでキャスターの堀潤は「もはや企業人にとってビジネスの現場にAIは欠かせない」と唸りつつ、「基礎的な知識をビジネスにどう活かしていくのか?」と疑問を呈します。すると野口さんは、それがビジネスに大きく寄与すると言い、「例えばゲームの中にAIを入れ込めば新しい体験が作れ、よりゲームが面白くなる」とそのメリットを語ります。

さらに堀は「報道の現場にもAIは欲しい。過去の蓄積、そして今後、例えば災害時の広がりなどを僕らも瞬時に得た上で次の取材行動を決めたりしたい」と渇望すると、「(報道現場への導入は)できると思う」と野口さん。

世界中の動画・映像から必要な素材を抜き出したり、次に何が起こるのかを予測したりすることなど、AIは非常に長けていることから、野口さんは「ぜひ取り入れていただきたい」とアピールします。

◆高校の授業にAIが…もはや社会生活にAIは必要不可決

現在は、若い世代に向けての育成教育も。ソフトバンクでは高校生向けのAI授業を展開しており、講師が高校に出向き授業を行い、高校生が企画立案しています。

このプロジェクトには、野口さんも監修として参加しており「高校生はピュアなので、AIをまっさらな状態で受け止めて学び、企画に関しても非常に良い企画が出せる」ととても驚いたことを明かします。例えば、オレオレ詐欺の電話がかかってきた際にAIが感知し、詐欺だとわかれば電話の声を瞬時に大人の声に変えるなど、興味深いたくさんの企画が上がってきたそうです。

これには堀も「すごく役立つじゃないですか!」と関心していましたが、野口さんも「社会課題を解決できるような企画を、高校生・若い世代だからこそ考えられるということが現場で起こっている」と目を丸くします。なお、高校生の学習内容は「座学・企画・体験・実装」と4段階あり、なかでも「体験・実装」は既に現在はプログラミングを書かなくともAIが作れる時代となっており、実際に高校生が作り、体験するという実践的な授業も行われています。

こうした状況に野口さんは「AIの知識を身につけていくことはもう必要不可決だと言いきっていいと思う」と述べ、「国語、算数、社会、理科、AIの時代になる。AIを当たり前に使うことで大きな成果を出すことができる」と言及。

例えば、大量の文書のなかから適切な文言を抜き出す仕事があり、人の手では10時間かかることもAIだと5分程度で終わるような技術革新が既に起こっているそうで、「いかに時短していくか、もしくはサービスや商品を作るときに新しい価値をAIでどう付け加えられるのかといったことをベースに考えられるかが、今後、大きな成果が生み出せるかどうかに関わってくる」と野口さん。

堀が、映画「スター・ウォーズ」シリーズに登場するC-3POのようなバディが欲しいと夢を語ると、野口さんは「そういったものが一家に1台、もしくは1人に1台ついてくる時代にもうすぐなると思う」と予見していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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