想定を超える回答数 カネミ油症次世代調査 「苦しむ人が多い証」

皮膚症状について

 カネミ油症認定患者の子や孫の健康影響調査で、全国油症治療研究班が公表した中間報告は、多くの次世代が健康問題を抱える現状を浮き彫りにした。8日会見した被害者団体は、油症を秘匿して生きる次世代も多い中、想定を超える388人の回答数に「苦しむ人が多い証」と強調。今後も継続される調査で一般の人との差が明確にされ、次世代の油症認定など救済の「足掛かり」が見つかることを期待した。
 次世代に特化した初の公的調査で、長崎、福岡を中心に30都府県から回答。20~40代が多かった。認定患者に特徴的な皮膚症状が、多くの次世代に出ていることも分かった。
 2年前に支援団体が実施した次世代調査では8割を親らが代わりに答えたのに対し、今回はほぼ全て次世代本人が回答した。次世代の子がいる諫早市の認定患者、下田順子さん(60)は会見で「(結婚や仕事の差別を恐れ)声には出せないけど苦しさを伝えたかったのでは」と述べた。
 また、次世代の4割に倦怠(けんたい)感や頭痛があることについて「次世代は倦怠感が1、2週間続いたり、薬がないと頭痛に耐えられなかったりと、一般の人とは違う。症状をさらに細かく聞いてほしい」と求めた。
 一方、関東の認定患者、鈴木文史朗さん(59)は、これまで油症認定ではダイオキシン類の血中濃度が重視されてきたが、血中濃度が高くない次世代には当てはまらないと指摘。次世代認定に向け「集まったデータを基に、血中濃度とは別の客観的データを見いだしてほしい」と訴えた。


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