女性活躍推進へ向けた計画策定 「未着手」最多 4月から中小企業へも義務化 準備に遅れ

一般事業主行動計画の策定状況

 長崎新聞社と十八親和銀行系シンクタンク長崎経済研究所(長崎市)の県内企業・団体トップアンケートで、4月から中小企業にも義務化される女性活躍推進へ向けた一般事業主行動計画の策定状況について聞いた。「着手していない」が最多の33社、「策定中」が32社で続き、準備が遅れている実態が浮き彫りになった。「既に策定」は23社にとどまった。
 女性活躍推進法は、事業主に対し、女性の採用数や管理職登用などの数値目標を定めた一般事業主行動計画を策定、労働局への届け出と情報公開を義務付けている。4月からは従業員301人以上の大企業に加え、101~300人の中小企業に対象を拡大。アンケートで策定状況を尋ね、その理由を自由記述で101社が回答した。
 「着手していない」とした水産関連事業者は「事務系職員以外は女性を雇用したくてもしづらい」、建設関連事業者は「女性に特化した採用はできず就労率が上がっていない」と回答。業界の特性によって対応が難しい実態がうかがえる。一方、ある製造業は「女性管理職もおり、さらなる活躍を支援していくが、具体的な活動は検討中」と前向きな声もあった。
 「策定中」と答えた企業には、デジタルトランスフォーメーション(DX)で業務を見直し、計画に着手した動きも。ある建設業は、分業化で「男女ともに活躍できる環境が拡大してきた」。あるサービス業は「販売部門の主軸は女性。DXにも強い」と、得意分野を生かした登用を進める。女性へのヒアリングで実態把握、研修などで従業員の意識改革を促進する企業もあった。
 「既に策定」としたある製造業は「結婚、出産後も仕事が継続できる職場環境づくりを推進している」。計画をホームページで公開している企業もあった。「その他」と回答した企業からは「既に女性が8割。多くが活躍し、女性、男性の意識がないのが当たり前」(宿泊業)、「ほとんどが女性なので趣旨に沿った策定が逆に難しい」(小売業)という意見もあった。
 長崎労働局によると、県内で新たに策定対象になる企業は約350社で、昨年12月末時点で計画を提出した300人以下の事業者は100社。今年4月1日時点で未提出だと、同法違反で社名が公表されるケースがあるという。労働局は動画投稿サイト「ユーチューブ」で概要や計画策定方法などを紹介。担当者は「早めに取り組み、2月中には着手してほしい」としている。


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