栃木県22年度予算案 2年連続の大台1兆86億円 コロナ、国体で膨張

2022年度県当初予算案について説明する福田知事=8日午前11時30分、県庁

 福田富一(ふくだとみかず)知事は8日、2022年度栃木県当初予算案を発表した。一般会計は前年度当初比68億円(0.7%)減の1兆86億円で、2年連続で1兆円を超えた。新型コロナウイルス対策や10月に開催する「いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会」に向けた事業費などで規模が膨らんだ。ポストコロナの「新たな日常」への対応として、デジタル技術で変革をもたらす「デジタルトランスフォーメーション」(DX)や脱炭素化の推進にも重点を置いた。

 同日の記者会見で福田知事は同予算案を「いちご一会とちぎ開化予算」と命名。「脱炭素実現へ始動する年。デジタル化や文化振興策を充実させ、栃木を開化させる」とし、とちぎ国体・とちぎ大会成功への決意も込めたと説明した。

 最優先となるコロナ対応には、前年度比で約1割減となる1898億円を計上。医療提供体制や検査体制の充実、学校などでの感染対策の徹底を図る。企業の資金繰りや採用の支援、離職者の再就職支援にも取り組み、社会経済活動との両立を目指す。福田知事は「当面必要な経費は確保したが、緊急事態などになった場合は速やかに補正予算で対応する」と述べた。

 脱炭素化の関連費としては64億円を予算化。具体的施策をまとめた県ロードマップ(行程表)に沿う形で、中小企業や市町の支援を本格化させる。デジタル関係では各分野で先端技術の活用を促進するほか、次世代に継承すべき文化資源のデジタル化にも着手する。

 国体等開催費は83億円を盛り込んだ。式典の企画・運営や来県する皇族への対応、選手強化費などに加え、選手や観客ら来県者に栃木県の魅力をPRする事業、大会後に施設を有効活用するための戦略策定に向けた事業などを新たに行う。

 歳入は企業業績の改善などにより県税や地方譲与税の増加を見込む一方、後に国が交付税措置する「臨時財政対策債」が大幅に減少する。高齢化の進展に伴う医療福祉関係経費の増加などで財源不足が生じ、94億円を貯金に当たる財政調整的基金から取り崩す。

 22年度末の同基金残高は451億円となる見込み。臨時財政対策債を含む県債残高は、22年度末に1兆1930億円となる見通し。

一般会計、特別会計、企業会計の予算案額
県当初予算案のポイント

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