復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉2月10日「通貨保証闘争が激化/統一ストに突入」―琉球新報アーカイブから―

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。
 
 
 1972年2月10日の琉球新報1面トップは、「通貨保証闘争が激化/統一ストに突入/県労協」との見出しで、復帰に伴う円―ドル通貨切り替えに関して賃金が1ドル=360円のレートで交換されるよう求める労働組合の統一ストの動きを伝えている。
 統一ストには基地従業員の全軍労のほか、バスなどの私鉄沖縄、港湾労働者らも参加予定で、記事では「このストで基地機能への影響が予想されるほか、民間バス(東陽バス除く)七百五十台がストップ、那覇、泊港など十八隻の船の積み荷作業もストップするものとみられ基地、陸、海でかなりの混乱が予想される」と影響の広がりを紹介している。
 すぐそばには「全軍労、48時間ストへ」「〝要求実現まで戦う〟全軍労総決起大会/首切り合理化に反対」と関連記事を掲載している。
 2番手の記事には、ニクソン米大統領が議会に提出した外交報告を巡り「日米関係/『平和の新構造』打ち出す/苦痛な調整に/中国と建設的関係」との見出しで紹介している。関連記事には「日米防衛に変化予測/安保条約基幹に再検討も」との共同電で、「国防総省内では沖縄返還以後の極東防衛体制について、具体的計画を練っているといわれるが、ニクソン大統領が外交報告の中で、特に日米防衛体制の変化に言及したことは、米政府が日米防衛体制を将来の検討課題としていることを示すものといえよう」と結んでいる。
 
 
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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。

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