宇都宮市がごみ出し5割減要請 施設火災で処理能力7割失う

火災でごみ焼却処理ができなくなったクリーンパーク茂原

 宇都宮市は9日、同市茂原町のごみ焼却施設「クリーンパーク茂原」で1日に発生した火災で可燃ごみの焼却ができなくなり、市のごみ処理能力の7割が失われたとして、市民や事業者にごみ排出量の5割削減を求めることを市議会議員協議会で明らかにした。施設の全面復旧には半年以上かかる見通し。佐藤栄一(さとうえいいち)市長は「茂原で可燃ごみの処理ができない非常事態。市民や事業者の皆さまにはごみの減量にご協力いただきたい」と訴えた。

 市廃棄物施設課などによると、火災は1日未明、焼却前の可燃ごみを保管する「ごみピット」内で発生。ピット上部のクレーン2基や脱臭装置2台など約1500平方メートルを焼いた。このため、可燃ごみの受け入れは同日から停止している。

 市と下野市石橋地区、上三川町の3地域の可燃ごみは、茂原と宇都宮市下田原町の「クリーンセンター下田原」の2カ所で処理される。3地域のごみ排出量は1カ月当たり計約1万3400トンで、茂原は約9150トンを受け入れていた。

 市は火災被害の全容をまだつかめておらず、復旧の見通しは不透明という。当面は茂原でごみ焼却ができないため、7日に市内と鹿沼市の民間施設2カ所で委託処理を開始。県内の他自治体などにも依頼し、1カ月当たり計約2千トンの外部処理を行うこととした。

 今後、3千トンまで引き上げる予定だが、それでも1カ月に処理できる量は約7250トンにとどまる。これまで通りのごみ排出が続けば、焼却できない可燃ごみが増え続け、ごみ回収にも影響が出る恐れがある。

 処理しきれない可燃ごみは7日から、宇都宮市下横倉町の最終処分場「エコパーク下横倉」に仮置きしている。9日までに約340トンが搬入されたという。

 佐藤市長は同日、市ホームページ(HP)で市民や事業者へ「5割削減」への協力を要請した。生ごみの水切りや資源物の分別、食品ロス削減も求めている。茂原へごみを搬入していた下野市、上三川町も地域へごみの減量を呼び掛ける。

クリーンパーク茂原の施設概略図

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