レッドブル・アンポル・レーシングが2022年仕様コモドアZBを披露。2023年“Gen3”も手動フロアシフト採用へ/RSC

 南半球オーストラリア大陸を代表するツーリングカー選手権、RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップに参戦するレッドブル・アンポル・レーシングは、2023年からのシボレー・ブランド変貌を前に、ホールデンとの最後の1年となる2022年仕様『ホールデン・コモドアZB』を披露した。

 また、正式導入が1年延期され2023年からの投入がアナウンスされた新車両規定“Gen3“モデルに関して、シリーズ技術部門はパドルシフト等ではなく「引き続き、フロアスティックによる手動シーケンシャル・ギヤシフト機構を使用する」ことを決定している。

 2021年も“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギズバーゲンが圧倒的な強さを披露し、チャンピオンチームに返り咲いたトリプルエイト・レースエンジニアリングは、伝説的な記録を残し昨季限りでフルタイムからの引退を決めた“セブン・タイムス・チャンピオン”ことジェイミー・ウインカップのチームプリンシパル兼マネージングディレクター就任を改めて発表するとともに、その後任としてスーパー2よりステップアップを果たす新鋭ブロック・フィーニーが、栄光の“No.88”を引き継ぐことも明らかにした。

「ホールデン最後のシーズンに、僕が慣れ親しんできたナンバーとフィーニーの名を同時に見ることができて興奮しているよ。彼がこのチームでスーパーカーの旅を始めるのにワクワクしているんだ」と、新たな役職就任とともに新シーズンへの期待を語ったウインカップ。

「でも、ただ単にその数字を披露するためだけに僕らはここにいるわけじゃない。僕らのクルマのシートには(RSCとスーパー2の)ふたりの現役チャンピオンが座り、ピットレーンの最初の2台のガレージを再び占有しているんだ」と続けたウインカップ。

「だからこそチームとして一生懸命に働き、ドライバーが自らのパフォーマンスを深く掘り下げて、2022年に可能な限り最高の結果を達成できるよう準備するのが僕たちの責任だ」

「また、パートナーコミュニティ全体の継続的なサポートにも感謝したい。特に、ニューホランドとウルトの面々がブランドを最大限に代表する存在として、僕らに信頼を寄せてくれたことを歓迎したい」

 その2022年仕様カラースキームも、ダークブルーとホワイトをベースに、ライトブルーのアクセントが追加され、ネーミングライツパートナーのレッドブルとシドニーに拠点を置く石油企業アンポルに加えて、ACデルコやダイムラー・トラックス、HP(ヒューレット・パッカード)などが名を連ねる。そしてウインカップのコメントにもあるとおり、農耕器具メーカーのニューホランドと、世界的部品メーカーであるウルトが新たなパートナーとして加わっている。

2022年仕様カラースキームも、引き続きダークブルーとホワイトをベースに、ライトブルーのアクセントが追加された
農耕器具メーカーのニューホランドと、世界的部品メーカーウルトが新たなパートナーとして加わっている
2021年限りでフルタイムから引退し、チームプリンシパル兼マネージングディレクターに就任したジェイミー・ウインカップ

■来季導入が予定される“Gen3”では手動フロアシフトを採用へ

 また、2022年のチームで一新されたのはフィーニーとカラーリングだけでなく、レースエンジニアの体制も刷新され、アンドリュー・エドワーズが新たに王者SVGを担当し、フィーニーの88号車は昨季ともにスーパー2タイトル獲得を成し遂げたマーティン・ショートがスライド昇格を果たしている。

「ワークショップで『88』と『フィーニー』が並んでいるマシンを見たときは、少し違和感というか、かなりシュールな感じがしたよ。だって、あの番号は誰にとっても『ジェイミー(・ウインカップ)のクルマだ』って認識だからね」と語ったトップチーム昇格のフィーニー。

「レッドブル・アンポル・レーシングとチームを代表するすべてのパートナーが彩られたホールデンに、自分の名前が載っているなんて本当にクールだ。6カ月前に契約が成立し、ついにクルマの側面に僕の名前が表示され、レースからわずか数週間しか離れていないことを知るのはとてもエキサイティングだ」

「シーズン前のすべての責任を果たすため、今はかなり忙しい毎日だけど、それはすべて僕にとって非常に新しいことなんだ。通常はできない多くのこと……つまりメディアやパートナーとのコミットメントを果たしつつ、最大の焦点はトレーニングに充てている。だから、シドニーでトラックに出たときの準備はできているよ」

 3月の開幕戦に先立ち、今月後半にもウィントンで最後の公式テストを控えるRSCだが、来季導入が予定される“Gen3”の運営委員会は、新型『フォード・マスタング・スーパーカー』と『シボレー・カマロZL1スーパーカー』でも、ECUによる回転合わせのブリッパー機構を備えたパドルシフト等ではなく、フロアスティックによる6速シーケンシャル・トランスアクスルの手動ギヤチェンジ機構を引き続き使用することを確認した。

「プロトタイプでの初期テストラウンドとGen3運営委員会からの全会一致のサポートを得て、新型カマロとマスタングが2023年以降も現在の完全手動ギヤシフトを使用し、レースを戦うことを表明したい」と語るのは、シリーズCEOのシェーン・ハワード。

「この決定はファン、チーム、ドライバーからの圧倒的なフィードバックを強く考慮したものだ。ギヤチェンジの機構と適切にシフトダウンするため必要な相応のスキルは、スーパーカー独自の激しいバトルで失われたり、損なわれたりすることはない」と続けたハワード。

「我々はつねに、スーパーカーのドライブに伴う“困難”を祝ってきた。シフトワークの巧拙は、このカテゴリーで成功するために必要なアートフォームの一部になっている。Gen3運営委員会の決定に非常に満足しているし、今後もGen3のさらなる開発を進めていくつもりだ」

栄光のカーNo.88を引き継いだ2021年Super2チャンピオンのブロック・フィーニー
「最初の数戦で体制を整え、懸命に結果を得る努力をするつもりだ」と新チャンピオンのSVG(左)
シリーズ技術部門は、Gen3でも「引き続き、フロアスティックによる手動シーケンシャル・ギアシフト機構を使用する」ことを決定した

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