【日本保険薬局協会】改定への所感公表/「調剤基本料3-ハ、協会の主張に逆行」

【2022.02.10配信】日本保険薬局協会は2月10日、会見を開き、その中で首藤正一会長は「令和4年度調剤報酬改定について(所感)」を公表した。+0.08%の改定率や外枠などがなかったことに一定の評価を見せるも、一方で、「調剤基本料3-ハ」が新設されるなど、企業の規模によって評価を変えるべきではないという協会の主張に逆行しているとして、「改めて遺憾の意を表するものです」とした。

日本保険薬局協会の首藤正一会長が公表した所感は以下の通り。

■令和4年度調剤報酬改定について(所感)

令和4年度調剤報酬改定については、令和4年2月9日に改定項目の「点数」が公表されました。当協会としての受け止めについては以下のとおりであります。

①今回の改定においては、調剤報酬で+0.08%の改定率となりました。財政状況厳しい環境下で、「外ワク」などのイレギュラーな措置を講ずることもなく、プラス改定とされ、また、調剤をとりまく様々な課題に答えているものと言って良いと思います。

②日本保険薬局協会は、調剤報酬は、個々の薬局が果たしている機能に基づいて評価されるべきであり、会社の規模によって評価を変えるべきではないと主張してきました。しかしながら、今回の改定においては、一定以上の規模を有するグループの薬局に関して、集中率の如何にかかわらず低い評価を行うセクター(調剤基本料3-ハ)が新たに設けられ、当方の主張に逆行する改定となっています。また、地域支援体制加算は一定の改善がなされたとはいえ、調剤基本料の種別によって加算の要件・加算額が異なっており、調剤基本料1以外の薬局ではより高い体制・実績を求められているにもかかわらず加算額が小さいという構造はむしろ顕著になっております。これらについては、改めて遺憾の意を表するものであります。

③薬局の損益率に着目して改定を行うのであれば、薬局全体の効率化を促すような改定を行うべきであり、機能を高め、かつ、効率化を実現したセクターにペナルティを課すような改定は適当ではないと考えています。今回の改定のように薬局をセクターに分けた評価を続けるのであれば、チェーン薬局等、評価の切り下げを受けるセクターを代表する委員を調剤報酬に係る調査・検討に参画させるべきであることも申し上げさせて頂きます。

④日本保険薬局協会では、昨年の春、診療報酬改定に向けた要望書をとりまとめ、厚生労働省に説明するほか、各政党関係者への要望活動を進めてきました。
今回の改定おいては、各方面のご理解を得て、当協会における重点事項である、「後発医薬品調剤体制加算の構造維持」、「やむを得ない理由でかかりつけ薬剤師以外が対応した場合の評価」、「在宅医療における主治医以外の医師の求めによる在宅訪問薬学的管理及び指導の評価」、「入院治療移行時の情報提供に関する評価」など多くの項目に関して、当方の主張にそった改善が行われる見込みです。これらは、当協会の活動が、一定の成果につながったものと考えています。
なお、これらの実現に当たっては、協会の活動により報酬改定のためのエビデンスを厚生労働省に向けて提示できたことも一定程度貢献していると考えており、協力いただいた会員各社の担当者の献身的な努力に感謝申し上げます。

⑤ 今回の改定では、リフィル処方の導入、オンライン服薬指導の要件緩和、調剤料及び薬剤服薬管理指導料の再構成をはじめ、薬機法の改正の流れをさらに進めて、今後の保険薬局の在り方に大きな影響を与える事項も少なくありません。
日本保険薬局協会では、これらの施策の流れに沿って、会員が設置する保険薬局が、国民医療・地域包括ケアの重要なプレーヤーとしての存在感を増していけるよう、協会活動の活性化にさらに努力してまいります。とりわけ医療経済実態調査の分析等、協会としての調査研究能力の向上にも取り組んでいきたいと考えています。

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