【新型コロナ】自主療養申請5千人超 神奈川県の制度導入2週間 説明や支援で課題も

神奈川県庁

 新型コロナウイルスの陽性者が医療機関を受診せず自宅で療養する「自主療養」制度を、神奈川県が全国に先駆けて導入してから、11日で2週間を迎えた。県内で累計5554人の申請を受理し、医療現場の業務逼迫(ひっぱく)の緩和が期待される一方、保健所や医療機関で十分な説明を受けずに利用を促されるケースがあるなど課題も見え始めた。市町村などのサポート体制も、手探りの状態が続いている。

 自主療養の対象者は抗原検査キットなどを用いたセルフチェックで陽性と判明し、重症化リスクが低い人。自主療養を本人が選択すると、感染者とはみなされなくなり、医療機関で検査を受けずに自宅で療養する。医療機関や保健所の人員、検査キットなどの医療資源を重症化リスクの高い患者に集中させる狙いがある。

 これまでの自主療養者数は、制度を開始した1月28日以降の感染者数(10万9919人)と比較すると約5%にとどまる。県担当者は利用者数について「一定の理解をいただいている」と言うものの、県がLINE(ライン)の公式アカウント登録者を対象に実施したアンケートでは利用希望者が半数に上っていたことと比較すると広がりを欠いている。

 制度の運用では課題も浮上している。県は自主療養をあくまで「陽性者が選択できる」としているが、県内の保健所や医療機関で患者に自主療養を選ぶよう促すケースが散見されることから、「本来は選択肢を示すべきで、同様の事例が続くようであれば県内各保健所、医師会への通知を徹底したい」(担当者)などとしている。

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