横浜市 敬老パス10月からIC化 実態把握で適正負担を

横浜市庁舎

 年額の負担金でバスや地下鉄などを利用できる「敬老特別乗車証(敬老パス)」を巡り、横浜市は10月から、利用回数などを把握するために現行の紙製からICカードに切り替える。高齢化に伴い事業費が増加を続ける中、利用実績を正確に把握することで、持続可能な制度に向けた方策を検討する考えだ。

 1974年の開始当初、6.8万人だった敬老パスの交付者は2020年度に40.7万人を超え、市費負担額も開始当初の2.9億円から20年度には103.3億円に拡大。25年度には43.7万人が利用し、109.5億円の市費負担額になると試算されている。

 利用者と事業費の増加に伴い、市は03年、制度開始当初は無料だった敬老パスに利用者負担制を導入。その後2回の値上げを行い、現在は無料~2万500円(年額)となっている。

 事業者に支払う市費負担額は月平均の想定利用回数に1乗車あたりの設定単価や交付者数、シェア率などを加味して算出する仕組みだが、想定利用回数と実際の利用回数との間に差があると長年指摘されてきた。

 中でも、大きな乖離(かいり)があるとされるのがバス事業での想定利用回数だ。開始当初は月平均の利用回数を「6回」と想定。その後、事業者との話し合いなどを経て段階的に現在の「15.5回」まで増やしてきたものの、バス事業者の実態調査では「22~24回」との結果が示されており、いまだ大きな開きがあるとされる。

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