「幻の貨物列車」8574 列車

はじめに

貨物列車とは、貨物を輸送する列車のことで、コンテナやタンク車を利用して日用品やガ ソリンなどを運搬するのが一般的です。その貨物列車も毎日走る定期貨物列車と、偶にしか走らない臨時貨物列車の二種類に分けることができます。その中でも、今回は幻の貨物列車 と言われている 8574 列車について紹介したいと思います。

なぜ幻の貨物列車と言われているのか?

結論から言うと、8574 列車は臨時貨物列車だからです。つまり、稀にしか走らない貨物 列車ということになります。加えて、この列車は幻とまで言われるほど珍しい列車とされています。 一体何を輸送するための列車なのでしょうか?

8574 列車は、『鉱石輸送列車』なのです。鉱石輸送というのは、線路を整備するのに必要 なバラストといわれる岩石を運んでいます。線路の補修は毎日行われないため、運行頻度が 低いのです。かつては一か月に一回程度の設定がなされていましたが、ここ数年は一年に一 度走るか走らないかの頻度でしか運転されていないのです。

8574列車 後ろの貨車には散布するバラスト(鉱石)が積載されている。筆者撮影## 8574列車とは

8574列車は、先述の通り鉱石を輸送する列車ですが、どのような列車なのか詳細を紹介したいと思います。この列車は、JR東日本の管理する線路を補修するのに必要なバラストといわれる鉱石を輸送する列車です。始発駅がJR貨物の宇都宮貨物ターミナル駅のため、JR貨物所有の電気機関車によって中継地点の川崎貨物駅まで運転されます。そこからは、線路を所有しているJR東日本の電気機関車によって現場へと運ばれます。

鉱石散布とその後の流れ

JR東日本の電気機関車によって運ばれた鉱石は、現場にて貨車の上から作業員のハンドル操作で線路へ散布されます。作業は夜間のため中々見ることができません。

散布後は現場へ到着した順番の逆で貨車を回送します。散布現場にもよりますが、基本的には東京貨物ターミナルを経由して川崎貨物へ、そこからは8171列車もしくは8583列車にて宇都宮貨物ターミナル駅へ回送されます。

おわりに

8574列車は線路を補修するためのバラストといわれる鉱石を輸送する臨時列車で、普段は見ることができないため幻の貨物列車と言われています。まさに縁の下の力持ちとして運転されるこの列車ですが、走行頻度の低さから鉄道ファンの中でも認知度が低い列車です。この機会に、鉄道を支える列車があることを知ってもらえたら嬉しいです。

【著者】共栄大学鉄道研究会

埼玉県春日部市にある共栄大学公認の愛好会です。 ジオラマ作成や鉄道模型の走行会のほかにも、撮影や記録などを行うことで知識を深めるなど、日々研究活動を実施しています。

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